新型コロナウイルスの感染者数の減少に伴い沖縄への旅行需要が回復しつつある中で、年末年始のレンタカー予約が難しくなっているなど、レンタカー車両の供給不足が顕著になっている。コロナ禍で各社が保有台数を大幅に減らしてきたことに加え、世界的な部品調達停滞による自動車生産の落ち込みで、増車も見込めないことがある。レンタカー不足は来春のプロ野球キャンプや卒業旅行シーズン、「Go To トラベル」キャンペーン時まで長引き、沖縄観光回復の制約要因になってしまうという見方が出ている。
コロナ感染拡大に伴う観光客の大幅減少を受け、レンタカー各社は経費節減のために車両台数を減らしてきた。県レンタカー協会の事務所には、沖縄を訪れる予定のビジネス客や観光客から「どこに問い合わせても予約が取れない。どうにかならないか」といった問い合わせの電話が増えているという。
同協会会員39社への調査では、今年11、12月に稼働するレンタカー台数は計1万1500台となっており、コロナ前の19年同期に比べると半分程度の水準だ。
一方で、航空各社は年末年始の沖縄発着の航空便をコロナ前と同規模に戻すことを予定する。観光客が空港で降り立った後の県内の移動手段の確保が課題となる。
県レンタカー協会の白石武博会長は「旅行者の行動範囲が狭まるほか、旅行地を変更する人がいる可能性もある。観光収入の減収への影響はあるだろう」と話す。
4千~5千台ほどの車両を保有する県内最大手のレンタカー会社(那覇市)は、年末年始の貸し出し予約は10月下旬で全て埋まっており、11月も週末はフル稼働だった。
来年5月のゴールデンウイークに向けて新車400台を10月に発注したが、世界的な半導体不足などを背景に新車の納入まで大幅な時間がかかっている自動車業界の動向に気をもんでいる。レンタカー会社の担当者は「大型連休が山なので増車したいが、どうなるか分からない。納入に10カ月かかる車種もある」と表情を曇らせた。
県レンタカー協会によると、長期化するコロナ禍でレンタカー各社の財務が悪化し、増車をしようにもリースの与信審査が通らないケースもあるという。感染の第6波や新たな変異株などコロナ収束の先行きに不透明さがある中で、増車の判断にも経営リスクはあり、観光需要の回復に合わせた供給台数に戻るかどうか難しさがある。
豊見城市にあるレンタカー会社は、年末年始の貸し出しは予約で埋まり、キャンセル待ちが100件以上に上っている。保有車両はコロナ前の半分程度に減らしてきたが、来年も増車は計画していない。
担当者は「(経済再開などの)方針を早めに出してもらわないと料金設定もままならず、売り上げの見通しが安定しない」と話した。
(中村優希)
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