シンガポール航空、最終赤字700億円に縮小 4~9月
【シンガポール=谷繭子】シンガポール航空が11日発表した2021年4~9月期決算は、最終損益が8億3680万シンガポールドル(約700億円)の赤字だった。前年同期の34億シンガポールドルの最終赤字の4分の1に縮小した。新型コロナウイルスワクチンの普及で出入国制限を緩和する動きが広がり、旅客数は5倍に膨らんだ。
売上高は前年同期比73%増の28億2700万シンガポールドルだった。9月末の輸送能力は前年比約5倍になったものの、新型コロナの流行前に比べると、32%の水準にとどまる。
シンガポール政府が一部の国との間で、ワクチン接種済みを条件に入国時の隔離を不要にする措置を導入するなど、往来制限は緩和傾向にある。国内線のないシンガポール航空の回復は遅れていたが、ここに来て運休便の再開を加速している。
隔離なしの入国は年末までに、欧米やオーストラリア、マレーシアなどに広がる予定。シンガポール航空は年末までに、輸送能力を新型コロナの流行前の43%まで戻す見通しだ。決算発表資料で「今後、アジア太平洋地域でワクチンが普及し、主要市場で航空旅行の需要が回復する。これに応じて輸送能力を拡大する」と強調した。
ただ、先行きは見通しにくい。感染の再拡大が懸念される欧州では一度、緩和した制限を再び厳格化する動きもみられる。原油高に伴う燃料費の高騰も今後の収益回復の下押し要因になる。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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