JTB、宿泊仕入れを支店に移管 22年度構造改革 地域密着の商品化と誘客加速

2021.11.08 00:00

ツーリズム事業を束ねる花坂代表取締役専務。着地の
周遊型商品など新たな商品形態も視野に入れる

 JTBは22年度の構造改革で、国内の宿泊仕入れと着地コンテンツ開発の機能を本社から支店に移管する。47DMC戦略の下、支店は法人営業を中心に自治体と連携した地域交流イベントや誘客プロモーションに取り組んできたが、得た情報を即座に旅行商品に仕立てて全国に流通させる体制をつくり、誘客を強化する。着地としての支店の役割も強め、リテールの個人営業では、地域外から訪れる人に地元の魅力を踏まえた旅を提案する。

 これまでは北海道や九州などエリアを統括する各仕入販売部が各支店から情報を得て商品化していた。機能移管はこれら仕入れ拠点のある地域を除く支店を対象に行う。すでに福島、新潟、長野、高松、松山、徳島、高知、鹿児島の8支店で試行しており、22年4月をめどに30支店程度まで広げる予定だ。

 花坂隆之代表取締役専務執行役員ツーリズム事業本部長はこの狙いを「法個連携、発着連携によるお客さま実感価値の向上」と表現する。「仕入れは商品企画の視点が強かったが、地域交流ビジネスと融合することで他社にはないユニークな商品を地域と共につくり、市場に提供していきたい」(同)

 仕入れ改革はパンフレットによる商品流通からの転換も意味する。ダイナミックパッケージの仕組みが整い、間際まで開催条件が確定しないイベントなどであっても商品化が可能になった。制約なく扱えるコンテンツが広がる。

 多彩な現地体験や宿泊施設をいかに提供できるかは、ダイナミックパッケージ時代の顧客獲得の鍵を握る。花坂専務は「ニーズをくみ取り、カスタマイズした商品を提供できるような体制にしていきたい」と言い、リテールを担う社員が仕入れやコンテンツ開発に加わることも想定している。

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