帝国ホテル、新本館デザイン発表 石材使う階段状建築に
帝国ホテルは27日、2036年度をめどに建て替える旗艦の「帝国ホテル東京」(東京・千代田)の新本館デザイン案を発表した。建築家の田根剛氏を起用し、階段状の中高層ホテルとなる。新型コロナウイルス禍後を見据えて外資系の高級ホテルの開業が相次ぐなか、老朽化していた施設の建て替えでブランド力の向上を目指す。
まず24年度から隣接するタワー館の建て替えに着工し、30年度の竣工を目指す。31年度から新本館の建て替えに取りかかる。新本館の敷地面積は約1.2ヘクタールで、客室数やフロア数は未定。客室を広くし、平均単価を現在の4万円弱から引き上げる考え。
田根氏のデザイン案はベージュを基調とした色彩が特徴で、石材を使った建物を予定している。日比谷公園に面したエントランス部分から階段状にせり上がる設計で、田根氏は「都市のグランドホテルとしてのたたずまいを残しながら、宮殿のような高級感ある建築を目指した」と話す。
帝国ホテルは、初代が1890年に竣工。改修などを経て現在の本館は3代目で、1970年に開業した。地上17階で客室は約570室。前回の建て替えから50年以上が経過し、本館の老朽化が進んでいた。
国内では、新型コロナ禍後のインバウンド(訪日外国人)需要回復を見据え、米ヒルトンや米マリオット・インターナショナルなど外資系高級ホテルの進出が相次ぐ。
国内企業の動きも活発で、パレスホテルが2012年に「パレスホテル東京」(東京・千代田)を建て替え、19年にはホテルオークラが旗艦ホテルをリニューアルした。帝国ホテルは「50年がたち、新しい施設と比べると劣ってきている点は否定できない」(定保英弥社長)ため、建て替えによるブランド力の向上が急務となっていた。
田根氏は東京都出身で42歳。フランス・パリを拠点に活動している。代表作に「エストニア国立博物館」や「弘前れんが倉庫美術館」などがある。