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“接種特典”飲食や旅行、自動車学校も…「行動緩和」先取り続々

 九州の商業施設や旅行会社などで、新型コロナウイルスワクチンを接種した人に向けた割引やサービスを提供する動きが広がっている。政府は11月ごろをめどに接種済み証明や検査の陰性証明を条件に旅行や飲食、イベント参加などの行動制限を緩和する方針だが、先行して民間で独自の取り組みが進む。各事業者はコロナ禍で落ち込んだ収益回復の足がかりを狙う一方、非接種者との公平性確保など課題もある。

 福岡市のJR博多駅にある商業施設「マイング」や地下食堂街では13日から、一部店舗でワクチン接種済証を提示した人に商品の菓子を配布したり、食事代を割り引いたりするキャンペーンが始まった。運営会社の博多ステーションビル(福岡市)の担当者は「店舗に足を運んでもらおうと企画した。接種が広がれば、お客さま、従業員双方の安全にもつながる」と話す。福岡県などは、10月にも始まる政府の行動制限緩和の実証実験に参加意向を示している。同社も同月以降、本格的にキャンペーンの参加店を募り、年末まで取り組みを続ける。

 ワクチンを打っていない人との公平性をいかに保つかも問われる。旅行代理店のラド観光福岡支店(同)は、接種済みの人に旅行代金を千円割り引く。一方、未接種者にはPCR検査キットを提供し、陽性が疑われればキャンセル料を免除する。商品を企画した大槻将利支店長は「ワクチンを打たない人の不利益にならないよう工夫した。安心して旅をしてほしい」と話す。10月以降の出発分の予約が増えているといい「行動規制緩和が旅行の後押しになればいい」と期待する。

 熊本市などで自動車学校を経営する「くまもとKDSグループ」では、教習生の8割以上が10~20代で、ワクチン接種率は約3割にとどまる。今月から、接種者を対象に授業料を最大5千円キャッシュバックするキャンペーンを展開し、接種を呼び掛けている。

 厳しい見方もある。九州経済調査協会の松嶋慶祐事業開発部次長は「(ワクチン未接種者が多い)若年層の新規感染が収まらない中、大規模な規制緩和は難しい。当面は本格的な経済回復は見込めないのではないか」と、楽観論にくぎを刺した。

 (古川剛光)

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