豪カンタス航空、全従業員にワクチン接種を義務付け
オーストラリアのカンタス航空は18日、全従業員に対し、新型コロナウイルスのワクチン接種を義務付けると発表した。
パイロット、客室乗務員、空港スタッフなど現場の最前線で働く従業員は、11月中旬までに接種を完了しなければならない。
また、残りの従業員は2022年3月末までに接種を終えなければならないと、カンタス航空は説明している。
ニューサウスウェールズ州で、1日あたりの感染者数が過去最多になる中、カンタス航空は従業員に接種を義務付けることを決めた。
オーストラリアを代表する航空会社のカンタス航空は、予防接種の義務化を導入した同国企業の中で、最大かつ最も知名度が高い。
同社のアラン・ジョイス最高経営責任者(CEO)は声明で、「我々は必要不可欠なサービスを提供している。そのため、(新型ウイルス感染症)COVID-19陽性者が1人確認されただけで貨物施設や空港のターミナルが閉鎖されてしまうといった混乱を、(接種を義務付けることで)防ぐことができる」と述べた。
また、「予防接種が、ロックダウンや国境閉鎖が繰り返されるのを止める唯一の方法であることは明らかであり、カンタス航空やジェットスターの多くの従業員にとっては、仕事への復帰を意味する」と付け加えた。
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医療上の理由なら免除
カンタス航空によると、従業員約2万2000人を対象とした調査で、回答者の89%が接種済みあるいは接種を受ける予定だと答えた。また、回答者の約4分の3が接種を義務付けるべきだと考えていることがわかった。
回答者約1万2000人のうち4%(約480人)は、ワクチンを接種したくない、または接種できないと答えた。
同社は、医療上の理由で接種を受けられないことが証明されているスタッフについては、接種を免除するとしている。
オーストラリアは、シドニーやメルボルンで感染力の強いデルタ株が流行しているのを受け、国境を閉鎖。カンタス航空はフライトスケジュールを大幅に削減することとなった。
今月初めには、従業員約2500人を一時帰休させた。
パンデミックの影響で、すでに約8500人を解雇している。現在も国際線の運航本数はごくわずかだ。
ワクチン接種は低調
カンタス航空は以前、オーストラリアの国境が再び開かれた際には、国際線を利用する全乗客にワクチン接種を義務付けるとしていた。
サウスウェールズ州の当局は、州都シドニーで発生したデルタ株の感染流行の封じ込めに苦慮している。
18日には、同州で過去最多となる633人の市中感染者が確認された。
当局は新たに3人の死亡を発表。この感染流行による州内の死者数は60人となった。
オーストラリアは先進国の中でもワクチン接種の展開スピードが最も遅く、接種を受けた人は人口の4分の1強にとどまっている。