ワクチンパス、国内観光業者ら「待ってられない」

新型コロナウイルスワクチンの接種歴を公的に証明する「ワクチンパスポート」をめぐっては、国内での利用を求める声も多い。ワクチン接種が確認できれば、イベントなどの入場規制や出社抑制を緩和させるなど、経済活動の再開につなげられるためで、民間ではすでに独自の割引サービスを行うといった取り組みも始まっている。

東京都文京区の旅行会社ビッグホリデーは、羽田発着分限定で8月23日~11月29日出発の北海道、四国、九州、沖縄に行くツアーについて、ワクチンパスポートや接種記録が記載される「接種記録書」の写しを提出すれば、1人当たり5千円を旅行代金から割引するサービスを始めた。

「座して感染終息を待っていても仕方がない」という担当者は、「なるべく早くワクチンパスポートを政府としても国内で活用する方針を打ち出してほしい。それで接種が広がれば観光需要の回復につながる」と訴える。

山梨県の富士河口湖町観光連盟も、6月から接種済証を提示すれば町内約30の飲食店や宿泊施設を1割引で利用できるキャンペーンを開始。経団連もワクチンパスポートの国内利用を政府に提言している。

ただ、ワクチンパスポートの国内利用に政府は後ろ向きだ。接種の強要につながるといった反発が想定されるためだが、関係者によると、役所に申請者が殺到することへの警戒感もあるという。ワクチンパスポートは、市区町村の窓口に申請し、紙で交付されるためで日本のデジタル化の遅れがここでも顕在化している。ただ接種証明が統一されてない現状では、2つの証明書を持ち歩くことも想定され、早期の一本化とデジタル化が求められそうだ。

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