タイ、10月にも入国隔離免除 ワクチン接種条件に
【バンコク=村松洋兵】タイのプラユット首相は16日、新型コロナウイルス対策で義務づけている入国者の隔離措置を、10月にもワクチン接種済みを条件に全国で免除する方針を明らかにした。感染拡大のリスクを減らすため、同月までに国民の7割以上に当たる5000万人に少なくともワクチンを1回接種することを目指す。
プラユット氏はテレビ演説で「120日以内に国を完全に開くことを目標にする」と述べ、外国人旅行客の受け入れを本格的に再開する考えを示した。感染拡大の懸念はあると認めながら、経済回復に必要な取り組みであると強調した。
タイは現在、すべての入国者にホテルなどで14日間の隔離を義務付けている。7月にリゾート地プーケットで先行してワクチン接種者の隔離免除を予定しており、首都バンコクなど他の地域にも順次広げる考えだ。
年内に1億550万回分のワクチンを調達する契約を結んだとも明らかにした。少なくとも1回接種した人は足元で7%にとどまっており、7月以降は月1000万回に加速させる。使用中の英アストラゼネカと中国・科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)に加え、米ファイザーやジョンソン・エンド・ジョンソンからも調達する。
タイは厳しい入国制限により国内総生産(GDP)の約2割を占める観光業が打撃を受けている。2020年の経済成長率は6.1%減に落ち込み、21年見通しも1.5~2.5%増と回復が鈍い。国内感染は比較的抑え込んできたが、4月以降は変異ウイルスが広がっている。16日時点の累計感染者数は約20万人となり、3月末比7倍に急増した。
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