国内インバウンド手配会社、9割以上が人員削減で壊滅寸前、コロナ後の担い手不足が深刻に ―JIMC調査

日本インバウンド・メディア・コンソーシアム(JIMC)が、日本国内でインバウンドのホテルなどの手配・予約を専門に行っている旅行会社、ツアーオペレーターを対象に実施した調査で、2019年と比べ、9割以上が人員削減し、半分以上削減した会社も4割に上ることが明らかになった。調査は2021年4月6日~5月10日の期間中、オンラインで400社を対象に行い、40社から回答を得たが、連絡がとれないところも多く、JIMCは「すでに休業、実質廃業してしまっている会社も相当数あると予想され、アフターコロナの担い手不足が懸念される」と指摘している。

2年連続売り上げ8割ダウン

まず、インバウンド関連業務の売り上げ状況と2021年以降の予測を聞いたところ、2020年はほとんどの会社が2018年比で8割ダウン、2021年はゼロが半数以上を占めた。完全復活の時期は、平均すると2023年にようやく2019年と同レベルに復活できるとの見解だった。

©JIMC

アフターコロナにインバウンドが急回復した場合の不安点・懸念点がある企業も75%に上り、その理由として「取引先が倒産や事業縮小していて回復の波に乗れない」、「協力会社や社外の委託先が減っていて回復の波に乗れない」、「協力会社や社外の委託先が減っていて対応ができない」という企業がそれぞれ40%を超え、業界全体の落ち込みを裏付けている。

2020年に実施した売り上げ減への対応策は、全体の75%にあたる30社が「雇用調整助成金による従業員の休業」を活用。また、3社に2社が「新規事業への取り組み」に挑戦しており、具体的に「外国人人材派遣」、「越境EC」などが挙がったが、総じてあまり上手くいっていない状況も浮き彫りになった。

GoToトラベルは効果なし

雇用調整助成金、緊急コロナ融資などを活用して経営を継続する一方で、「政府の支援策が続いても、今後の経営の継続が困難になる可能性がある」という会社も45%に上り、なかには「このままでは数か月あとに廃業か倒産確定」、「GoToトラベルキャンペーンが公平だったとは思わない」との厳しい意見も見られ、苦境があらわに。JIMCは「アフターコロナには個人旅行や小グループ、特に富裕層から回復するとみられ、高付加価値のコンテンツや丁寧な対応が求められるが、国内ランドオペレーターの力なしには成功はおぼつかない。回復の波に乗るためにも、支援は不可欠だ」などと訴えている。

Q「今後の経営の見通しについて」©JIMC

みんなのVOICEこの記事を読んで思った意見や感想を書いてください。

観光産業ニュース「トラベルボイス」編集部から届く

一歩先の未来がみえるメルマガ「今日のヘッドライン」 、もうご登録済みですよね?

もし未だ登録していないなら…