九州観光推進機構の新会長にJR九州会長の唐池氏

記者会見する九州観光推進機構の唐池恒二新会長(右)と石原進顧問=10日、福岡市中央区
記者会見する九州観光推進機構の唐池恒二新会長(右)と石原進顧問=10日、福岡市中央区

九州観光推進機構は10日、福岡市内で総会と理事会を開き、石原進会長(JR九州特別顧問)の後任に唐池恒二JR九州会長を選任した。石原氏は顧問に就く。唐池氏は記者会見し、新型コロナウイルス感染拡大で大打撃を受ける観光産業にとって「一番の敵は政府のコロナ対策だ」と訴え、九州観光の立て直しに向け、行政に対し物申していく姿勢を鮮明にした。

同機構のトップ交代は11年ぶりで、平成17年の設立以来、初代から3代続けてJR九州の社長・会長経験者が担う。唐池氏は21年から26年までJR九州社長を務め、九州新幹線の全線開業や、九州を周遊する豪華寝台列車「ななつ星in九州」の導入などを手掛けた。

唐池氏は「観光業は『移動自粛』『集合自粛』『インバウンド(訪日外国人客)市場の消失』の三重苦に見舞われている」と強調。政府のコロナ対策について「どんな根拠に基づいて判断しているのか見えてこない。移動がいけないなら山手線で何百万人の感染者が出ている」と怒りをあらわにした。その上で「正しいコロナ対策を取ってもらうため、業界全体で声を上げたい」と述べた。

コロナ禍で九州観光は苦境に立たされている。九州の観光消費額は令和元年に過去最高の2兆8800億円を記録したが、2年は1兆1100億円まで落ち込んだ。同機構は5年に4兆円を目標に据えるが、達成時期の後ろ倒しは避けられない情勢だ。

唐池氏は「プロモーションに加え、各地の観光資源を磨き上げることが大事だ。コロナ後をにらんで戦略を作り直していく」と意気込みを語った。

平成22年に2代目会長に就任した石原氏は、全国に比べて低い九州の観光消費単価を上げるべくインバウンド誘致などに尽力した。石原氏は「観光を九州の基幹産業にしようと取り組んできた。唐池氏は観光に造詣が深く、行動力もあり期待している」と述べた。(小沢慶太)

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