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婚礼大手のワタベウェディング(京都市)の臨時株主総会が28日、京都市内で開かれ、医薬品メーカーの興和(名古屋市)の完全子会社になることが賛成多数で承認された。「海外リゾート婚」の草分けとして成長を遂げたが、新型コロナウイルスの感染拡大で悪化した業績を自力で立て直すことはできず、興和の下で経営再建を目指す。
東京証券取引所1部に上場するワタベは6月28日、上場廃止となる予定だ。臨時株主総会に出席した株主の一人は、「業界を引っ張ってきた企業だけに、ここまで追い込まれたのは非常に残念だ」と話した。
ワタベは親会社となる興和から20億円の出資を受け入れる。私的整理の一種である「裁判外紛争解決手続き(事業再生ADR)」を活用し、約90億円の債権放棄を柱とする金融支援も取り付けた。この結果、2023年12月期には、最終利益が13億円の黒字に転換する見通しだ。
胃腸薬「キャベジンコーワ」で知られる興和は、日本とハワイでホテルも運営している。ワタベを傘下に置くことで婚礼客に自社のホテル利用を促すなど、相乗効果を見込む。
婚礼業界の先行きは不透明だ。少子高齢化などを背景に婚礼市場の縮小傾向が続いており、昨年の婚姻数は約53万件(速報値)とピークの約109万件(1972年)からほぼ半減した。業界に詳しい東洋大の徳江順一郎准教授は、「コロナ禍のような不測の事態に備え、国際会議やイベントの運営など、ノウハウが活用できる分野にも事業を拡大すべきだ」と指摘する。