【データ】国内のランドオペレーター社を対象とした現在の経営状況や政府の支援策の利用状況などに関する緊急意識調査


 日本インバウンド・メディア・コンソーシアムは26日、「国内のランドオペレーター社を対象とした現在の経営状況や政府の支援策の利用状況などに関する緊急意識調査」の結果を発表した。

この度、日本におけるインバウンドメディアの更なる品質・地位の向上を目指して活動する、日本インバウンド・メディア・コンソーシアム(略称:JIMC、事務局:東京都渋谷区、理事長:弓削 貴久 ㈱地球の歩き方)では、新型コロナウイルスによる国内インバウンド市場への影響を把握するため、国内のランドオペレーター社を対象に現在の経営状況や政府の支援策の利用状況などに関する緊急意識調査を400社に行い(※1)、40社(※2)より回答を得ました。

 

国内ランドオペレーター社とは、日本国内でインバウンドのホテルなどの手配・予約を専門に行っている旅行会社(ツアーオペレーターと同義)。海外の旅行会社が旅行商品を造成する上で欠かせない存在であり、これまでインバウンドの盛り上がりを支えてきました。今回のアンケート実施にあたり、弊会では計400社の国内ランドオペレーター社との連絡を試みましたが、連絡が取れないところも多々あり、すでに休業(実質廃業)してしまっている会社が相当数あることが予想できます。

調査の目的今後、緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が解除され、ワクチン接種が進むと、国内消費の回復に沸くことが予想されます。その中で、回復に時間がかかるインバウンド業界が忘れ去られると事業撤退や倒産が相次ぎ、将来的に担い手不足により、市場の回復の波に乗れない可能性があります。今、求められるのはアフターコロナのインバウンドを支える、国内ランドオペレーター社への支援であると考えます。

アフターコロナの際には、必ずインバウンドの回復が見込まれます。そして、そのときにはFITや小グループの旅行から、特に富裕層から回復するのではないか、といわれています。そうした少人数で高単価・高収益の旅行には、オーダーメイドの富裕層旅行に加え、MICEや教育旅行に必要な高付加価値のコンテンツや丁寧な対応・手配が求められますが、このときに重要なのが国内ランドオペレーター社の力です。もはや彼らの力無しには、アフターコロナのインバウンドの成功はおぼつかないともいえます。
本調査は、アフターコロナのインバウンド業界の復活へ向けて、そうした国内ランドオペレーター社のコロナ禍での現状を浮き彫りにしたものです。この調査報道が、コロナ禍で困難に直面するインバウンド事業者の現状を知る機会となれば幸いです。

インバウンドの完全復活は2023
アフターコロナのインバウンド市場の完全復活には相当の時間がかかることが予想されますが、本調査では平均すると2023年にようやく2019年と同レベルに復活できる、との見解でした。また政府の支援がなければ、ほとんどのランドオペレーター社の経営継続が難しいと考えており、従来型の支援では経営継続が難しいとする回答も45%にのぼりました。また、アフターコロナにインバウンドが急回復した場合の不安点・懸念点がある企業も75%にのぼり、その理由として「取引先が倒産や事業縮小をしていて回復の波に乗れない」「協力会社や社外の委託先が減っていて対応ができない」という企業がそれぞれ40%を越え、業界全体の落ち込みを裏付ける形となりました。
また、Go To Travelキャンペーンについても、ランドオペレーターである旅行会社からは「全く効果がなかった」「ほとんど効果がなかった」という回答が78%にのぼり、その効果が国内の旅行業界の中でも、各地の宿泊施設や交通事業者と、事務局を行った大手代理店などかなり限定的なものであり、インバウンド系の会社には全く効果がなかったことがうかがえました。一方で、インバウンド市場におけるビジネスについてコロナ前の2019年と同規模、もしくは拡大したいと考えている企業が83%と、コロナ後のインバウンドに期待したいという企業の期待感も感じられる結果となりました。

現在の従業員の状況と今後の展望について
現在の従業員の状況を尋ねたところ、半数以上の企業がインバウンド以外の業務に従業員を振り分けられていないことが分かりました。元々インバウンド専業事業者がほとんどであり、現状の外国人旅行者の入国者数を考えると、ほぼ休業状態であるといえます。また、半数以上の従業員を休ませている会社が53%と、インバウンド以外の業務がなく休ませているところが多いという現状があります。さらに、半数以上の企業が何らかの形で人員削減を余儀なくされており、影響の大きさを伺い知ることができます。一方、また、約3社に2社が助成金がなければ雇用の維持が難しいと考えており、今後も厳しい状況が続くと予想されています。

売上減への対応策と今後の経営の見通し
全体の75%にあたる30社が「雇用調整助成金の活用による従業員の休業」を活用しており、65%が「新規事業への取り組み」によって、2020年に売り上げ減への対応を実施していました。「家賃支援給付金」など、その他の経営支援対策についても利用している企業が半数を越え、またその企業のほとんどが「利用し、効果的だった」と答えています。98%の企業が何らかの支援を政府に対して期待しており、特に雇用調整助成金、一時給付金への期待が高いという結果が得られました。しかし、そうした「政府の支援策が続いても、今後の経営の継続が困難になる可能性がある」という会社も45%にものぼりました。中には「このままでは数か月後に廃業か倒産確定です」「インバウンド専門中小企業への支援がない」、「Go Toトラベルキャンペーンが公平だったとは思わない」といったシビアな意見も見られました。

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本調査では、上記の他に訪日旅行のマーケットの再開予想時期や、インバウンド関連事業の売り上げなど、現在のリアルな国内ランドオペレーター社の実情に迫る様々な設問への回答が寄せられました。調査の集計データをご希望のメディア様につきましては、下記連絡先までお問い合わせをお願いいたします(※2) 。またJIMCでは、今後も現在の日本のインバウンドのリアルな状況を把握し、今後のインバウンドのより効果的な施策につなげていくきっかけづくりとなる調査を順次行ってまいります。調査結果のお知らせを希望される場合も下記までご連絡をお願いいたします。
なお、 JIMCでは、この度の新型コロナウイルスにより一時的に旅行者が大きく落ち込んだ状況からのリカバリーを支援するため、正会員メディア(インフィニティ・コミュニケーションズ㈱、㈱KADOKAWA、㈱マップル、㈱地球の歩き方、㈱NEXTOUR、㈱ファイネックス)横断での露出支援策などを予定しております。

※1 対象調査は2021年4月6日~5月10日。
※2 メディア以外の方は、賛助会員様に限り調査結果をお知らせしておりますので、これを機に是非ご加入をご検討ください。

 
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