パンデミック後の航空機の客室はどうなる?…国際デザインコンテンスト受賞4作品を紹介

シンシナティ大学の「コーヒーハウス・キャビン」。

シンシナティ大学の「コーヒーハウス・キャビン」。

Crystal Cabin Award Association

  • ハンブルク・アビエーションによる第14回クリスタル・キャビン・アワード・コンテストの受賞作8つが発表された。
  • 8つのデザインのうち4つは、飛行機の客室と座席の新たなコンセプトを取り入れたものだ。
  • コワーキング・スペースのような空間からゲーム・ラウンジのようになる座席まで、創造性に富んだ客室デザインを紹介しよう。

航空業界はCOVID-19のパンデミックの中で大きく変化しているが、一部の組織は、国際コンテスト用に設計された飛行機のキャビンで、空の旅をさらに進化させようとしている。

最初のパンデミック以前、エアバス(Airbus)、シンシナティ大学(the University of Cincinnati)、サフラン(Safran)などは「未来のフライト」のコンセプトをハンブルク・アビエーション(Hamburg Aviation:ハンブルク都市圏における航空産業の振興を目的とした団体)の第14回クリスタル・キャビン・アワード(Crystal Cabin Award)コンテストに提出していた。応募されたデザインの多くは既存の客室には似ても似つかず、スパやカプセル・ホテルのように見えるものもある。

3月30日、同団体はコンテストの受賞作8つが発表し、プレス・リリースで「現在の危機的な状況にあっても、航空業界は立ち止まってはいないことを明らかにする」と述べた。8つのデザインのうち、4つが客室またはエコノミー・シートのコンセプト案で、その他はワゴンやBluetoothを使った機内エンターテインメントなどの新たなアイデアだった。

以下に紹介するのは、コーヒー・ハウス風からラウンジにもなるプライベート・シートまで、コンテストで受賞した4つの客室デザインだ。すぐに実現するわけではないが、未来の空の旅の可能性を示すものとなっている。


1. エアバス…フレキシブルな構造

エアバスが考える2030年の客室

エアバスが考える2030年の客室「エアスペース・ビジョン2030」。

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「ビジョナリーコンセプト」賞を受賞したエアバスの「エアスペース・ビジョン2030」は、客席がフレキシブルな構造になっていて、ラウンジや家族の憩いの場に変更できる。各席とも個々に「環境」設定が可能で、プライバシー確保やカスタマイズのためのオプションが用意されている。

「エアスペース・ビジョン2030」には他にも、機内バー、寝台、ジムのデザインもある。1万メートル上空でもワークアウトしたい人はいるだろう。


2. エビエーション・エアクラフト…フィッシュボーン・スタイル

エビエーション・エアクラフト

エビエーション・エアクラフトの「フィッシュボーン・シート」。

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窓側の席の方が好きというあなたは、このデザインが気に入るかも知れない。アビエーション・エアクラフトの電動コミュータージェット機「アリス(Alice)」は「フィッシュボーン(魚の骨)」スタイルのシート・アレンジで「キャビンコンセプト」賞を受賞した。

同機は9人乗りで、航続距離は620マイル(約1000km)以上。乗客全員が窓から外を見ることができる座席配置になっている。


3. シンシナティ大学…コーヒーハウス・キャビン

シンシナティ大学のコーヒー・ハウス・キャビン

シンシナティ大学の「コーヒーハウス・キャビン」。

Crystal Cabin Award Association

締め切りに追われている人や開放的なオフィスが好きな人、またはフライト中に生産的な気分を感じたいという人は、コワーキングスペース風の客席はどうだろう。シンシナティ大学の「コーヒーハウス・キャビン」は、機内中央にワーキングテーブルを設置したデザインで「大学」賞を獲得した。

ワークスペースに椅子を置くだけのコンセプトではない。テーブルにはポップアップ式のスクリーンが付いており、向かい合って座る乗客同士を物理的に隔離することもできる。また、離着陸時には、座席を前方に向け、テーブルを折り畳むことができる。

理論上、このシートの価格は基本的なエコノミーより高くなるが、ファーストクラスに比べれば手頃な価格になるだろう。


4. サフラン・シート…グレードアップしたエコノミー・シート

サフラン・シートのエコノミー席のコンセプトモデル「モジュールエアS」。

サフラン・シートのエコノミー席のコンセプトモデル「モジュールエアS」。

Crystal Cabin Award Association

もしあなたがエコノミークラスでより快適なシートを望んでいるなら、サフラン・グループ傘下のサフラン・シート(Safran Seats)が解決してくれるかもしれない。「パッセンジャー・コンフォート・ハードウェア」賞を受賞したサフラン・シートの「モジュールエアS(Modulair S)」はネックレスト、高さ調整が可能なテーブル、タブレットを立てることができるスペースを装備している。

[原文:4 award-winning airplane cabin designs show that the future of flying could look like coffee shops or gaming lounges

(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue)

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