大阪・関西万博 あす開会式 一部間に合わないパビリオンも

「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、158の国と地域が参加する大阪・関西万博は12日に開会式が行われ、13日に開幕します。

12日の開会式は大阪 此花区夢洲の万博会場のEXPOホールで行われ、石破総理大臣や、実施主体の博覧会協会の十倉会長などが出席し、天皇陛下がおことばを述べられたあと、秋篠宮さまが開会アクションをされることになっています。

これに先立って9日は報道関係者を招いた「メディアデー」が行われ、工事の遅れが懸念されていた海外パビリオンは、参加国がみずから建設する42のパビリオンのうち、31のパビリオンが参加し技術や文化をアピールしました。

ただ、いくつかの海外パビリオンは内装工事などが終わっておらず、関係者によりますと、開幕日に間に合わない可能性もあるということです。

前売券の販売状況は今月2日時点で870万枚余りと、目標とする1400万枚のおよそ6割にとどまっています。

また今回の万博は、「並ばない万博」を目指していますが、試験的に来場者を招いた「テストラン」では、入場ゲートや人気のパビリオンで長い行列ができました。

円滑な運営や機運の醸成などさまざまな課題が指摘される中、大阪・関西万博は、13日から半年間にわたって開催されます。

天皇皇后両陛下 開会式を前に万博会場を視察

動画 1分5秒(11日午後6時のニュースで放送)
※動画はデータ放送ではご覧いただけません

天皇皇后両陛下は、12日の開会式を前に、大阪・関西万博の会場をご覧になりました。

両陛下は午後1時半前に万博会場に到着し、シンボルとして建設された1周およそ2キロの「大屋根リング」を視察したあと、政府が出展するパビリオン「日本館」で、名誉館長を務める俳優の藤原紀香さんらの出迎えを受け、展示をご覧になりました。

さらに、大阪府や大阪市などが出展する「大阪ヘルスケアパビリオン」で、大阪市の横山市長から、iPS細胞から作った心臓の筋肉の細胞をシート状にした「心筋シート」などに関する展示について説明を受けられました。

天皇陛下は、心筋シートが拍動する様子を見ることができると聞くと、驚いたような表情を見せられていました。

首都圏から修学旅行で万博会場見学も

大阪・関西万博には、首都圏からも多くの子どもたちが修学旅行で訪れる予定になっています。

このうち東京 渋谷区の鉢山中学校では、来月下旬に2泊3日の日程で関西地方を回る予定で、初日に万博会場を見学します。

修学旅行では例年京都や奈良を訪れていますが、ことしはちょうど万博が開催されるので、日程に加えることにしました。

来週には、生徒たちが万博がテーマにしている社会課題や、パビリオンの中身について学ぶ事前学習が始まることから、引率予定の教員は公式サイトを見ながら下調べをしていました。

菅原和義教諭は「この2025年でしか体験できないことなので、私たち教員もとても楽しみにしています。中学3年生の子どもたちが『こういう未来だったらな』とか、『こんなことがしてみたい』と考えるいい機会にしたいと思っています」と話していました。

3年生の女子生徒は「一生に一度行けるか行けないかという万博に友達と行くことができ、うれしいです。日本とは異なる文化があると思うので、積極的に学びたいです。ヨーロッパやドイツ、韓国などのパビリオンが楽しみです」と話していました。

修学旅行 万博か大阪市内観光か 生徒が選択の学校も

修学旅行で大阪・関西万博を訪れる学校の中には、生徒たちに万博に行くか市内観光をするか選択できるようにしたところもあります。

千葉市の土気南中学校ではここ数年修学旅行で長野県や岐阜県を訪れていますが、万博が開催されることから、ことしは関西地方を旅行先に決めました。

当初は3年生全員で万博会場を訪れる予定で準備を進めてきましたが、ことし2月に教員が現地を下見した際に会場内を見ることはできず、旅行代理店からもパビリオンの内容などについて、十分な情報が得られなかったということです。

メタンガスの爆発事故などもあって、保護者や生徒から不安の声があがったこともあり、先月、生徒の希望に応じて万博会場を見学するか、大阪市内を観光するか選べるようにしました。

3年生130人余りのうちおよそ半数が万博を選んだということで、「国際的な展示を見たり、科学技術に触れたりしたい」という意見が聞かれたということです。

一方、市内観光を選んだ生徒は「万博だけではなく、仲間と一緒に広い範囲を観光したい」などと話していたということです。

岩脇之俊校長は「万博の情報がなかなか得られない不安もあり選択制の形をとった。見守りの教員の配置を万博会場だけでなく市内の広い範囲で改めて考えるなど準備を進めていきたい」と話していました。

東京 1970年の万博パビリオン設計図など集めた展覧会開催

開幕が間近に迫る中、東京 文京区の国立近現代建築資料館では、1970年の大阪万博で建てられたパビリオンの設計図や、日本で開かれた万博のガイドブックなど100点余りを集めた展覧会が開かれています。

このうち前回の大阪万博で人気を博したという童話の世界を再現したパビリオンの設計図には、9つのドーム型の建物を通路でつなげた斬新なデザインが鉛筆で描かれています。

ほかにも大阪万博のシンボルとなった「エキスポタワー」の建設途中の写真や、構想段階のパビリオンのイラストなどが展示されています。

展覧会を訪れた60代の男性は「建物が好きで、前回の大阪万博にはいろいろな建物を見に行き、楽しかった思い出があります。建物はもっとシンプルだったような記憶がありましたが、図面で見ると複雑なデザインでおもしろかったです。今回の万博はもっと情報が出てきておもしろそうであれば行きたいと思います」と話していました。

国立近現代建築資料館の小林克弘主任は「過去の万博の建築物は高度な技術を使いながらさまざまな試みのもと自由に設計されていて、これまでに培われてきた技術は今回の万博の会場デザインにも生かされています。過去の建築デザインを知ってもらうことで今回の万博では建築デザインの変遷という視点からも楽しんでもらいたいです」と話していました。

この展覧会は展示内容を入れ替えてことし8月末まで開かれています。

山梨県の日本酒 イタリアのパビリオンで提供へ

大阪・関西万博で山梨県北杜市の酒造会社が仕込んだ日本酒が、イタリアのパビリオンを訪れた各国の関係者にふるまわれることになり、11日、酒蔵でお披露目されました。

ふるまわれる日本酒はスパークリングタイプで、原料には県産の酒米「夢山水」が使われています。

会社によりますと、シャンパンと同じように瓶の中で2次発酵させていて、きめ細かく力強い泡が長時間続くことが特徴だということです。

また、瓶にはイタリアの日ざしや海などの自然をデザインした特別なラベルが使われるということです。

山梨銘醸の北原対馬社長は「日本酒の国内消費量が低迷する中で、万博で日本酒が飲まれることは日本酒が世界に広がる一歩になる。こうした取り組みを積み重ねて、日本酒業界全体の輸出増加や会社としての輸出増加を目指したい」と話していました。

林官房長官 “開幕後も気を緩めることなく取り組む”

林官房長官は午後の記者会見で「大阪・関西万博は日本の魅力を世界に向けて発信し地方創生の取り組みを加速させる絶好の機会だ。開幕後も安全に国内外の来場者を迎え、盛り上がりを見せていくよう関係者が一丸となって気を緩めることなく取り組んでいく」と述べました。

一方、万博の公式ウェブサイトの外国語表示について海外メディアの記者から「フランス語の翻訳に誤りがあり意味がわからない」と指摘されたのに対し「多言語対応も含め来場者に情報発信をしていくことが重要だと認識しており、指摘の点も含めてしっかりと対応していく」と述べました。