山口の観光振興、議論活発化 米紙記事「追い風に」

山野拓郎
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 米紙ニューヨーク・タイムズNYT)が発表した「2024年に行くべき52カ所」に選ばれた山口市。千載一遇のチャンスを逃すまいと、観光振興の議論が活発になっている。「若者の力を借りた発信を」「日常を飾らずに示しては」。13日に開かれた県と山口市の会合で、相次ぎが提案が上がった。

 湯田温泉旅館協同組合など約20団体でつくる市観光産業活性化委員会の会合。22年に400万人だった山口市の観光客数を27年までに600万人に増やすという目標について、市の担当者が「(NYTの)報道を追い風に、早期の達成を目指す」と決意を述べた。

 山口観光コンベンション協会の大庭達敏理事長は「オール山口でスピード感をもっておもてなしサービス向上に努める必要がある。今年は山口市の観光にとって大変重要な1年になる」と話した。

 出席した山口大の陳禮俊教授(観光政策)は、市への評価は「ストレスのない旅」ができる点が要因と指摘。渋滞を起こさず、観光をゆっくり楽しめる環境を保つことが必要と述べた。

 また、「市民の日常は観光客にとっての非日常。何も装飾せず地域の伝統文化を提示すればいい」として、山口祇園祭のような大きなイベントに限らず、一の坂川のひな流しやホタル鑑賞も観光資源になり得ると訴えた。

 県観光審議会はオンラインを含め観光団体の役員ら12人の委員が出席した。「住民がどれだけ地元を知るかが重要。みんなが観光大使になればいい」「若い人の発信力はすごい。『この街、すごくない?』とインスタなどで発信してもらったら」などの意見が出た。観光客を迎え入れる宿泊業界の委員は「人手不足が顕著」だとして「客も海外から、働く人も海外からという形が始まっている」と話した。

 委員の一人、斉藤理・県立大教授(観光まちづくり)は、各地の大学で「おもてなし人材」の育成プログラムが盛んになっていると話し、「『NYTで選ばれた山口市で観光人材になる』というのは大きな付加価値になる」と指摘した。(山野拓郎)

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