北陸新幹線、あす開業 ターミナル敦賀駅は、料金・時間はどうなる?

佐藤常敬
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 北陸新幹線金沢―敦賀間がいよいよ16日に開業する。関西や名古屋方面からの特急乗り換えなどターミナル駅となる敦賀駅では、開業に向けた準備が最終段階に入っている。

 駅2階の乗り換えコンコースでは、大阪や名古屋方面への特急別にオレンジと青に色分けした案内表示が新たに登場。乗客に新幹線と在来線の特急列車のホームを遅滞なく移動してもらうためだという。

 米沢光治敦賀市長が「勇壮華麗な様子はまさに敦賀要塞(ようさい)」と表現する通り、敦賀駅は整備新幹線の駅の中でも多数の「日本一」を冠する巨大駅だ。

 地上から高さ約21メートルに位置する新幹線ホームは最も高い。3階の新幹線と、1階の在来線特急のホームを結ぶコンコースは、長さ約200メートルでこれも一番の長さ。1日約2万7千人の乗り換え客の利用を想定し、スムーズに移動するための19の改札数も東京駅と最多タイだ。

 今年1月、JR西日本は約1千人の社員らを動員し、乗り換えのシミュレーションを実施。3階の新幹線から乗客役約900人が降りて1階の特急まで移動したが、一部に乗客が集中するなどし、乗り換え時間は目標の8分を上回り、10分以上かかった。JR西金沢支社の岡久資・副支社長は「誘導などを改善して、開業当日を迎えたい」と話しており、改善策として案内表示を増やした。

 開業で福井県は東京と直結するが、福井駅などから関西や名古屋方面は乗り換えが必要となり、これまでより不便になる。大阪駅からの平均所要時間は福井駅が1時間52分で現在より短縮はわずか3分。料金は7290円と現行より1150円高くなる。

 開業で時間と料金の双方で恩恵を受けるのは、福井駅から東京へ向かう利用者だ。福井駅と東京駅間は、「かがやき」で最短2時間51分。現在の特急と新幹線より36分短縮され、料金も530円安くなる。

 一方、敦賀駅の利用者は、従来通りの米原経由が「優勢」だ。米原経由(特急と東海道新幹線)は最短2時間40分で、料金は1万3820円。北陸新幹線は乗り換えは不要となるが、最短で3時間8分、料金も1万6360円とともに増える。時間は変えられないものの、北陸新幹線の早割やネット割など料金の「対抗策」が期待される。

 年に数回、東京や神奈川に行くという敦賀市の50代男性は「東海道新幹線を使うかな。でも、トラブル時など選択の幅が広がるのはうれしい。大きな荷物を持っていたりしたら、行きか帰りのどちらかは北陸新幹線に乗りたい」と話す。

 敦賀駅の周辺でも、観光客の来訪で、まちを活気づけようと歓迎の準備と機運が高まる。2月までに商店街などの中心市街地で開業に向けた受け皿作りを支援する補助金を活用し、地鶏焼き肉店や、古民家ゲストハウスなど33店が新規出店や既存店のリフォーム、改修をした。

 敦賀駅前商店街振興組合の理事長、河藤正樹さん(54)の土産物店も通常の4~5倍の仕入れで開業日を迎える。高齢の両親が営む駅前の店は、閉めるつもりだった。会社員をやめて引き継いだのも、新幹線開業が背中を押したという。「店を継いだ9年前に夢見た光景が目の前に迫る。100年に一度の機会に立ち会えるなんて胸が高鳴る。どきどきだけど、うれしいこの思いで、敦賀に来る人たちを迎えたい」と力を込めた。(佐藤常敬)

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