北陸応援割 予約相次ぎ苦情も「通常価格の旅 損と思わないで」

能登半島地震の影響を受けた観光業を支援する「北陸応援割」の予約受け付けが福井、富山、新潟に続き、12日から石川県でも始まりました。

一方、予約がすぐに埋まるケースも相次いでいて、すでに予約枠がいっぱいになった民宿の女将は「被災地での通常価格での旅を損だと思わずに楽しんでほしい」と話しています。

石川 加賀のホテル「予約の電話が鳴りっぱなし」

「北陸応援割」は、地震の影響を受けた石川、福井、富山、新潟の4県の観光業を支援するため、観光客の宿泊代などを1回の宿泊予約で2万円を上限に半額を補助する国の事業で、今月16日から来月26日までの宿泊分が対象です。

福井、富山、新潟の3県分の受け付けは今月8日に始まっていて、12日からは石川県分の受け付けが始まりました。

加賀市の片山津温泉にあるホテルでは早速、予約や問い合わせの電話が相次ぎ、従業員が対応に追われていました。

このホテルは地震で被災した人たちの2次避難先となっていて、130ある客室のうち6割が観光客向けに提供されるということです。

被災地の支援につなげようと、能登地方の食材や地酒を味わうことのできる宿泊プランも売り出しています。

ホテル「アローレ」の太田長夫社長は「問い合わせの電話が鳴りっぱなしです。北陸新幹線の延伸も間近に迫っているので、観光客と2次避難者の受け入れを両立させていきたい」と話していました。

富山県「宿泊施設への苦情は控えて」

北陸応援割は12日から石川県分の受付が始まりましたが、8日から受付が始まっている福井、富山、新潟では予約が埋まってしまうケースも相次いでいます。

北陸応援割に対応する旅行サイトにはアクセスが集中してつながりにくい状態となり、短時間で受付が終了となるところも多くみられました。

富山県の場合、ホテルや旅館など252の宿泊施設と231の旅行会社が参加していますが、12日時点ですでに89の宿泊施設では割り当てられた予算額に達し、予約の受け付けを停止しています。

SNSでは…

「北陸応援割今日から始まったのに富山県もう予算上限到達したとかえぐ」
「いつのまにか、始まり、受付停止していた」

北陸応援割が適用されなかったことをなげく投稿が目立っています。

また、宿泊施設への苦情の連絡も相次いでいるということで、富山県ではホームページで「宿泊施設への割引適用に関しての苦情等はお控えいただきますよう、ご理解とご協力をお願いします」と注意を呼びかけています。

富山 氷見の民宿の女将「通常価格 損と思わず楽しんで」

北陸応援割について宿泊施設はどのように受け止めているのでしょうか。

富山県氷見市の民宿「あおまさ」の女将、青木栄美子さんは8日、SNS上に「どうか被災地での通常価格での旅を損だと思わずに、北陸でのご縁や出会いを優しい気持ちで楽しんでいただけますと幸いです。私たち宿泊業者も、お値段以上にお客さんに楽しんでいただけるように精一杯努力していきます」と投稿しました。

青木さんの民宿では午前9時から「北陸応援割」の受け付けを開始しましたが、およそ2時間で予算額に達して割引きでの宿泊の受け付けを終了しました。

その後、予約の電話をかけてきた人は割引きがされないことを知るとほとんどの人が予約をしなかったということです。

取材に対し、青木さんは「お客さんも半額で泊まれると思っていたのに通常価格でとなると損した気分になったかもしれず宿としては悲しく感じています。どうか優しい気持ちで楽しんでほしいですし、北陸に来てもらうチャンスなので、安心して来て、遠慮なく楽しんでほしいです」と話していました。