ガザ衝突からまもなく4カ月 消えた観光客、「聖地」ベツレヘム閑散

イスラエル・パレスチナ問題

パレスチナ自治区ベツレヘム=伊藤弘毅
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 パレスチナ自治区ガザ地区でイスラム組織ハマスとイスラエル軍の軍事衝突が始まって以降、イスラエルと、もう一つのパレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区から、観光客の姿が消えました。コロナ禍からようやく回復しつつあった産業や地域社会へのダメージは大きいとみられます。戦闘が始まってから、まもなく4カ月。現場の事業者は、終わりの見えない戦闘に悲痛な声を上げています。

 地元メディアによると、2023年のイスラエルへの来訪者数は計301万人でした。当初見込んでいた年間来訪者数を大幅に下回りました。ガザ地区での衝突による影響を大きく受けた形です。

 パレスチナ自治区は、領内に空港がありません。来訪者数の増減は、国際空港を持つイスラエルの状況に左右されやすく、今回もイスラエルと同様に深刻な打撃を受けたとみられます。

 そんなパレスチナ自治区にとって、特別な存在の観光地があります。イエス・キリスト生誕の地として知られる、西岸地区の都市ベツレヘムです。

 国連教育科学文化機関ユネスコ)の世界遺産に登録されている聖誕教会などがあり、毎年米国などから多くの巡礼者や観光客が訪れます。

10月初めまでに来訪者120万人 その後の宿泊者は「ゼロ」

 客が消えた「聖地」。現場を訪ねると、観光事業者は次々と悲痛な声を上げました。

 ホテルの総支配人・オーナーによると、10月7日以降の宿泊客は「ゼロ」。土産物店や宝石店を営む経営者は、先行きが見えない状況に「多くはパレスチナを離れることも考え始めている」と話します。(パレスチナ自治区ベツレヘム=伊藤弘毅

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