「空飛ぶクルマ」今年中に実証実験へ 和歌山県が民間3社と連携

松永和彦
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 次世代モビリティーとして期待される「空飛ぶクルマ」について、和歌山県は今年中に県内で実証実験を始める方針を示した。実用化への取り組みの一つとして、5日に民間企業3社と連携協定を結ぶ。岸本周平知事は「空飛ぶクルマを活用し、地方創生にいかしていきたい」と意欲を述べた。

 空飛ぶクルマは、垂直に離着陸し、ヘリコプターやドローン、小型飛行機の特徴を併せ持つ電動の機体。人や物を乗せて飛行することを想定している。滑走路が不要で騒音が少なく、駆動時に温室効果ガスの排出もない。2025年の大阪・関西万博での商用運航が注目されている。

 5日に県が協定を結ぶのは、重工大手のIHI(東京都江東区)、空飛ぶクルマの離着陸場のノウハウを持つ総合建設コンサルタントの長大(東京都中央区)、大手私鉄の南海電気鉄道大阪市浪速区)の3社。各社長らが出席し、県庁で協定が交わされる予定だ。

 今回の協定締結で、空飛ぶクルマの普及や観光利用などの可能性を探る。今後は実証実験に向けて、機体の確保や飛行させる準備をしていくことになる。

 県は昨年4月、運航実現に向けたプランを作成している。そのなかでは、離着陸場の選定や運航ルートを含めた環境整備を進めることのほか、用途としてエアタクシー、災害救助、山間部や離島間の移動などが示されている。また、車やバス、鉄道などの既存インフラと連携して、観光周遊にも活用させたいとしており、地域活性化策の一つになると期待されている。

 岸本知事は先月30日の定例会見で「空飛ぶクルマの離着陸場の候補地を慎重に絞りながら進めていきたい。魅力のある事業なのでわくわくして取り組んでいく」と語った。(松永和彦)

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