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外資系大手ホテルの地方進出が加速している。コロナ禍前に大都市圏を訪れていた訪日客が、新たな旅の魅力を求めて地方都市に目を向け始めているためだ。各ホテルは富裕層らの集客に加えて地元客の取り込みを図る工夫なども凝らしており、コロナ禍で落ち込んだ観光産業の回復が期待される。(橋本龍二)
雄大な景色
ドアを開けて客室に足を踏み入れると、窓から雄大な桜島の景色が目に飛び込んでくる。鹿児島市に16日開業した「シェラトン鹿児島」(228室)は、1室(2人)27万円からの「桜島インペリアルスイート」(広さ109平方メートル)を始め、桜島の眺望を楽しめる客室がそろう。同3万円から泊まれる客室も備えたほか、地元客の利用を見込んだカフェも設け、幅広い客層をターゲットに据える。
シェラトンは、米マリオット・インターナショナルが世界で展開するブランドで、鹿児島は九州・沖縄で3か所目。鹿児島の運営を担う南国ホテルズの伊牟田均社長は「(利用客らに)地方にも魅力があることを認識してもらい、九州全体の観光業の底上げにつなげたい」と話す。
リゾート需要の回復を見越して沖縄県宮古島市にホテルを設けるのは、米ヒルトンだ。6月に開業する「ヒルトン沖縄宮古島リゾート」は、1室限定の「プレジデンシャルスイート」の宿泊価格が25万~35万円で、180度の景色を楽しめるバルコニーなどを備える。
300メートルで競合
外資系大手ホテルは主に大都市圏で展開し、国内外の富裕層らを受け入れてきた。一方で、2018年には訪日客が3000万人を超え、地方を志向する外国人も出てきたことから、ホテル側も地方に着目。19年には、大分県別府市で英国系の高級リゾートホテル・インターコンチネンタルが営業を始めた。