大津市の湖岸に「たねや」が大規模店 来年秋~冬、森や里山を再現

仲程雄平
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 大津市由美浜の大津湖岸なぎさ公園市民プラザに、菓子製造販売の老舗「たねや」(滋賀県近江八幡市)が大規模店を開く。菓子職人の技を間近で見られる工房が入り、周囲には県内の森や里山の自然を再現する。オープンは来年秋~冬ごろの予定。

 市民プラザは、近江大橋そばの湖岸にある2万7800平方メートルの公園。市民らの憩いの場になっており、琵琶湖が一望できる。

 民間資金で公園を整備する「パークPFI」事業を活用し、たねやが公募に応じた。市は昨年7月、事業者をたねやに決定し、今年3月に施設整備計画を認定した。

 市が発表した計画概要によると、新店舗のコンセプトは「湖にふれ いのちをはぐくむ 琵琶湖の森―多彩なつながりから滋賀の未来を創る憩いの空間―」。建物の周りには森をつくり、階段状にレイアウトしたデッキから琵琶湖の景色を楽しめる。

 建物は自然に溶け込むようにして配置し、外観の一部を盛り土で緑化する。屋内にはショップやカフェ、工房が入る。販売する菓子の種類は未定。地元の学生と「近江八景」をテーマにした菓子を共同開発し、全国に発信する。

 建物の周りにつくる森は、写真家の今森光彦氏が監修する。公園を比叡山の野辺と位置づけ、在来種の草木を植えて里山の風景を再現し、生態系の保全を図る。

 自転車利用者向けの「サイクルラック」も設ける。公園全体としては、電力を太陽光発電再生可能エネルギーでまかなう「ゼロカーボンパーク」をめざす。

 整備計画は協議により変更の可能性があるが、今年の夏ごろに着工する予定だ。

 2015年、たねやがオープンした旗艦店「ラ コリーナ近江八幡」(近江八幡市北之庄町)は、年間約300万人が訪れる人気スポット。県内の集客施設で、21年まで6年連続トップになっている。

 市は、たねやが開く新店舗について、来年度以降に大津港までの航路延伸をめざす「びわ湖疏水(そすい)船」などとともに、にぎわい創出につながることを期待する。

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 4月の日中、市民プラザを訪ねた。近くのシバザクラが見頃を迎え、観光客らでにぎわっていた。

 花見などで年に数回訪れるという京都府長岡京市の女性(50)は「寄るところができてうれしい。観光客が増えると思う」と期待。大津市の女子高校生(17)は「ラ コリーナまでは遠い。この辺がにぎわうだろうし、楽しみ」と話した。

 一方、今の市民プラザは広々として、散歩で訪れた人たちがのんびりできる。妻とベンチに座って昼ご飯を食べていた草津市の男性(82)は「にぎわいにつながるかもしれないけど、もったいないなあ」。琵琶湖を見つめて、名残惜しそうにつぶやいた。(仲程雄平)

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