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コロナ禍では「選ばれた」埼玉・秩父 なぜ緩和後は客足伸び悩む?

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コロナ規制緩和を受けて台湾から2年半ぶりに西武秩父駅に着いた団体を迎える秩父地域おもてなし観光公社のスタッフら=埼玉県秩父市で2022年10月24日午前10時52分、山田研撮影
コロナ規制緩和を受けて台湾から2年半ぶりに西武秩父駅に着いた団体を迎える秩父地域おもてなし観光公社のスタッフら=埼玉県秩父市で2022年10月24日午前10時52分、山田研撮影

 新型コロナウイルス感染が落ち着き、行動制限が緩和されても秩父地域を訪れる観光客の客足が伸び悩んでいる。埼玉県秩父市にある西武鉄道西武秩父駅の特急降車人数と同駅前の観光案内者数はいずれも2022年度の10月に感染拡大前の19年度の10月を上回った。だが、22年度11~1月は19年度の12月の降車人数を除き、各月とも下回った。秩父地域の宿泊者数については22年度の11月と1月が21年度の各月より少なかったことも判明した。観光関係者は、秩父よりも遠方に向かう県内や東京都内からの観光客が増えた影響と分析する。【山田研】

「ほどよい近さ」「ほどよい自然」ウリに

 秩父地域おもてなし観光公社の井上正幸専務理事兼事務局長に観光客数の伸び悩みの理由や対策を聞いた。

 秩父地域の宿泊施設や土産物店から「思っていたよりも観光客が増えていない」と新型コロナウイルス感染対策緩和後の悩みを聞く。2022年度と1年前や3年前と比較した数字は、観光需要が伸びていない裏付けだ。

 旅行・観光業界は全国的に、コロナ禍から回復している。その中での伸び悩みは、秩父への来訪者の多くを占める東京都内や埼玉県内在住者をはじめ全般的により遠方の観光地に向かうようになったからだと受け止めている。

 ただ、21年度比の伸び率では留意すべき点がある。コロナ禍でも観光客の落ち込みが秩父は他地域と比べて小さいと、全国規模の旅行サイト運営企業から聞いた。「密」が敬遠されたコロナ禍で秩父が「選ばれる」理由は東京圏からマイカーで行ける「ほどよい近さ」にありながら、「ほどよい自然」があるからだろう。

 コロナ禍でテレビの旅や情報の番組で秩父の露出はすごく多かった。テレビ局側が東京から遠方に出向いての収録を避けて「近いから」と選んだようで、観光客の来訪につながる効果を生んだ。しかし、ここに来て露出が減ったことが、観光客が増えない一因になっていると思う。

 「ほどよい近さ」は「ほどよい自然」だけでなく、「ほどよい田舎」としても秩父のウリになる。おもてなし観光公社は「ちかいなか秩父」として売り出している。都心から距離が近い田舎だけでなく「近い仲」という意味も込めて「ちかいなか」を商標登録。農作業、そば・うどん打ちをはじめとする田舎体験をできる地域として提案してきた。「自然」「田舎」を体験してもらうコンテンツを練りながら「ちかいなか」をさらに突き詰め、プロモーションも強化する必要を感じる。

前年の9割台に落ち込む月も

 感染対策緩和で、政府は22年10月11日、観光業支援として旅行需要喚起策「全国旅行支援」を46道府県で開始(目的地が東京都分は同月20日から)。1人1泊当たり最大1万1000円を支援した。また、インバウンド(訪日客)を呼び込むため、同11日から入国者上限撤廃など水際対策も大幅に緩和した。

 秩父地域おもてなし観光公社は21年度から、秩父地域の7宿泊施設に宿泊した都道府県別の人数を集約。上位10都道府県別を合計した延べ宿泊者数は22年のコロナ規制緩和直後の10月11日~31日が8374人だった。前年の同期間を18・9%上回った。3年ぶりに山車が曳行(えいこう)されて2日間で…

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