【3月6日 CNS】eスポーツが中国で普及したことで、eスポーツ向けのホテルの市場規模がわずか2年間で2倍になり、急速に過当競争の状況になっている。

 中国観光ホテル産業協会とネット旅行大手「同程旅行(LY.COM)」が共同で発表した「2022年eスポーツホテル市場調査報告書」によると、中国国内のeスポーツホテル市場は過去2年間成長を続け、eスポーツ向けホテルの数は2023年までに2万軒を超えると予想されている。国内のeスポーツホテル市場には主に、eスポーツ専門ホテルと一般eスポーツホテル(eスポーツをテーマにした客室タイプを提供する一般ホテル)の二つがある。

 成都市(Chengdu)、重慶市(Chongqing)、長沙市(Changsha)、武漢市(Wuhan)、合肥市(Hefei)、温州市(Wenzhou)、広州市(Guangzhou)、西安市(Xian)、南昌市(Nanchang)、杭州市(Hangzhou)など都市のeスポーツホテルの消費は比較的活発だ。eスポーツホテルのコア顧客層は、1990年代以降生まれの世代が中心で、男性利用者が9割近くを占めている。

 しかし、平均客室料金に関しては、eスポーツホテルの67.4%が1室あたりの平均価格で250元(約4911円)未満にとどまっている。

 近年、eスポーツホテル市場に参入した起業家群に加え、インターネット大手も事業に行き詰まりを感じている。2021年、中国ホテル大手のシャングリラ(Shangri-La)は、中国ゲーム大手の騰訊遊戯(テンセントゲームズ)および騰訊(テンセント、Tencent)eスポーツと共同でeスポーツ専用にカスタマイズされたeスポーツテーマルームをリリースした。

 テーマルームでは、人気ゲーム「Craz3 Match」や「Happy Poker」などの要素をホテルシーンに組み込んでいる。中国ネット通販大手の京東(JD.com)も傘下のeスポーツクラブを統合して「京東eスポーツホテル」ブランドを立ち上げた。

 ホテルの新規オープンも相次ぐ。2022年9月にはeスポーツホテルブランド「競鵝酒店」が杭州にオープンし、12月には、アモイのPKeスポーツホテルは500万元(約9822万円)の融資を受けた。

 eスポーツホテルは将来的にはより豊富な消費シナリオを生み出すと予想されている。例えば、eスポーツホテル+脱出ゲーム、eスポーツホテル+マーダーミステリー+テークアウト、eスポーツホテル+ゲームIPなどだ。

 ただし、eスポーツホテルはネットサーフィンと宿泊機能の両方を備えているため、その機能ごとに、規制が異なる点には注意が必要だ。

 中国の法律ではeスポーツホテルの事業内容が明確に規定されていない。未成年者の利用も問題になりそうだ。現在、一部の都市では、eスポーツホテルが定められたルールに違反して未成年者を受け入れた場合、当局が処罰できるようにする法律の整備が進められている。(c)CNS-北京青年報/JCM/AFPBB News