国際線、3年ぶり再開へ 台湾に小松は定期便、富山はチャーター便

朝倉義統
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 新型コロナで運航を休止していた、小松空港石川県小松市)と富山空港(富山市)の国際線が3年ぶりに再開する。小松は4月1日からエバー航空(台湾)が台北線を定期便で、富山は4、5月にチャイナエアライン(同)が同線でチャーター便を運航する。

 エバー航空の小松―台北線(所要時間約3時間)は、コロナ禍前は小松発が午後7時半だったが、4月からは午前11時45分発になり、当日に台湾での観光ができるように利便性を高めた。旅客機も同13日からは309人乗りの大型機を投入する。

 富山空港のチャーター便は台湾からのインバウンド客が中心で、2カ月間に18往復を計画している。初便の4月13日だけ富山発が利用できるという。

 エバー航空金沢支店の小宮ジョセフ支店長によると、「台湾からは7割くらいの予約状況だが、小松側からはまだ少しずつという感じ」と話す。台湾からは4泊5日で金沢や富山、長野などを巡る旅程が多いそうだ。金沢の文化的な面や海鮮などの食文化、そして4、5月は富山の立山の「雪の大谷」が人気だという。

 小宮支店長は「定期便の運航継続には日本側からのアウトバウンドの利用客が増えないといけない。行政の頑張りにも期待したい」と話す。

 富山県は定期便化に向け、2月16日に県内の旅行会社約20社を集めアウトバウンドの旅行商品を開発するセミナーを開いた。

 国際線の他の地方空港の状況はどうなのか。昨年11月に羽田や関西などの国際空港と新千歳、那覇に次ぎ地方空港で先駆けて再開したのが高松空港香川県)だ。現在、定期便でソウルと台北の2路線のほか、チャーター便で香港線が運航しているが、4月からは定期便になる。

 その香港線のチャーター便ツアーを実施している旅行会社「EGLツアーズ」(本社・香港)の袁文英社長は、「リピーター客は地方を選ぶ。高松は岡山や大阪へも近くて便利」といい、「早くから国際線が再開し、今は高松はホテルが取りづらい状況。知事が誘致に頑張った。観光にやる気があるかどうかでしょう」と話す。

 香川県の担当者によると、昨年6月に岸田文雄首相が「広島、高松、仙台の3空港の国際線を早期再開する」と発言したこともあり、7月末には検疫態勢も整ったという。空港の地上業務を担う2社は、早期再開の情報により、事前に人員も確保でき、準備が進められたという。

 一方、コロナ禍前に地方に就航していた韓国線だが、羽田や関西、福岡、新千歳など大都市の空港で複数の会社が復活し、夏ダイヤで再開される地方空港もある。

 航空・旅行アナリストの鳥海高太朗さんは「韓国から日本の旅行は大都市や鹿児島、札幌でとても旺盛です」と話す。「日本から海外へは、まだ都市部からの個人旅行客が中心。まだ団体ツアーが組める状況になく、5月にコロナが5類になり、検疫が緩くなれば夏以降に地方路線も増えてくるのでは」と話す。

 小松と富山は、コロナ前は韓国・ソウル、中国の上海や大連の各路線があったが、3日時点で小松は未定で、富山は韓国の格安航空会社(LCC)が、5~8月に地方都市からのチャーター便を検討中という。(朝倉義統)

     ◇

 3年ぶりの国際線再開に向け、税関職員による入国審査の訓練も始まっている。2月7日に小松空港であった訓練では、同空港と富山空港を担当する税関職員が参加した。

 携帯品や別送品の申告書が、コロナ前には対応していなかったスマートフォンなどでも可能になり、入国審査場にはペンタッチ式のタブレット端末とQRコードの読み取り器が新たに導入された。職員たちは、その操作方法や紙の申告でも対応できるよう手順などを確認していた。また、スーツケースの検査などで様々な場面を想定した訓練もした。

 税関職員になって4年目の女性職員(26)は「旅客のスムーズな通関ができるようにしたい」と話す。

 国際線の旅客が増えると、心配されるのが薬物の密輸だ。小松空港では、コロナ禍前の2020年1月に過去最高の覚醒剤約1・8キロ(末端価格約1億1千万円)の密輸が摘発された。

 谷口晃・金沢税関支署小松空港出張所長は、「旅客が戻ると薬物を運んでくることも十分考えられる。職員たちは関西空港での経験もあるので心配はない」という。(朝倉義統)

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