コロナ禍の影響で人手不足深刻化 沖縄本島のタクシー、値上げの動き

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 沖縄本島内の法人タクシー事業者によるタクシー運賃の改定申請が相次いでいる。今月1日に県内大手の三和交通(南風原町)が沖縄総合事務局に改定を申請。3カ月以内に申請台数が本島地区の法人車両全体の7割以上に達すれば総事局の審査が始まるが、24日時点で22社(計1225台)が申請し、全体の41%を超えた。近く7割に到達すると見込まれ、早ければ9月中にも値上げされる。

 コロナ禍の影響で高齢の乗務員の離職が進み、人手不足が深刻化。保有車両の稼働率が下がり、観光客増加や飲食店などへの人出が戻る中、曜日や時間帯によっては客の要望に応えられない状況も出ている。

 燃料費や物価の高騰が追い打ちをかけており、県ハイヤー・タクシー協会の東江一成会長は「各社ともに経営状況はかなり厳しい。乗務員と利益確保のためには値上げするしかないだろう」と話した。

 三和交通は、普通車の初乗りを560円(1・75キロ)から600円(1・179キロ)に引き上げるなど初乗りと加算を加味した改定率は25・14%。経営状況によって各社の申請内容には幅がある。審査を経て、最終的に総事局が改定料金などを決める。

 県内の法人事業者全体の車両数は約3500台で、昼夜勤務や休みを勘案すると、全体で約1万人の乗務員が必要だが、コロナ禍前で約6千人。そもそも人手不足だったが、コロナ禍で感染を懸念した高齢の乗務員の自主的または家族の意向による退職や休職が相次いだ。コロナ禍の落ち着きに伴い、復職の声かけをしても戻らない状況が続いているという。協会全体の稼働率は約60%で、コロナ禍前から10ポイント程度下がっている。

 燃料費に加え、車両や部品代などの高騰も経営を圧迫。4月以降の電気料金引き上げや、10月から始まる消費税インボイス(適格請求書)制度に合わせた関連機器の更新なども頭を悩ませる。

 人流回復により、1台当たりの売上高は上がっている。昨年5月の道路交通法改正でバス、タクシー乗務員の年齢要件が「21歳以上」から「19歳以上」に引き下げられたこともあり、協会や各社では運賃引き上げ分を、若手乗務員の確保に向けた求人活動などに充てる考えだ。

 那覇市のあるタクシー会社では、乗務員離職や保有車両の処分などで稼働率はコロナ禍前の約50%にまで下がっている。同社の専務は「乗務員の待遇を改善し、若者にも魅力ある仕事にしていかなければいけない。あらゆる費用が上昇している」と述べ、改定に理解を求めた。

 離島地区では今月1日時点で申請台数が7割に達し、運賃改定に向けた審査が始まっている。(沖縄タイムス)

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