県の支援金、駒ケ根観光協会など2団体が不正使用

安田琢典
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 長野県上伊那地域振興局は20日、駒ケ根観光協会など2団体が、公共的な団体に活動費の一部を補助する県の「地域発 元気づくり支援金」を不適切に利用していたと発表した。不適切分の交付を取り消し、返還を求めている。

 同振興局によると、不適切な利用があったのは、いずれも駒ケ根市の一般社団法人駒ケ根観光協会と、早太郎温泉事業協同組合の2団体。元気づくり支援金は、県内の各振興局が地域の産業振興や雇用拡大、環境保全などに取り組む市町村やNPO法人などに活動費を補助する事業で、2017年度からの4年間の補助額のうち、協会の計385万5千円、組合の49万5千円が不適切と判断した。

 協会は観光PR動画の製作過程で、本来の受注業者以外に製作を依頼し、補助金を受けるために製作に携わらなかった受注業者に代金を支払った。また、チラシやポスター、WEBサイトが未完成にもかかわらず、実績報告書にサンプルを添えるなどして完成したように装った。

 一方、協会に会計事務を委託していた組合は、PRバッジ製作に不必要な経費を計上していたほか、PRチラシが完成したように装っていたという。

 協会は今年4月、国や県の補助事業で、事業部長だった職員(今年3月に退職)による不適切な事務処理があったとして、理事11人全員が辞任。組織再編のため事務局を市に移したうえで、21年10月に告発文書を受け取った伊藤祐三市長を新たな会長に選んだ。弁護士らによる第三者委員会を設置して20年度の不適切な事務処理を調べ、報告を受けた国税庁観光庁、県と県観光機構が調査していた。

 県の「地域発 元気づくり支援金」制度は07年度に始まり、不適切な利用があったとして補助金の返還が求められたのは、10年度と17年度に続いて3回目。

 同振興局の担当者は「両団体の事務局は返還する意向を示している」と説明。協会の担当者は「不正があったことを真摯(しんし)に受け止め、再発防止策を提出したい」と話し、26日に臨時総会を開いて経緯を説明する方針だ。(安田琢典)

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