観光急回復も業界で人手不足 賃上げやロボ導入など対策、打開なるか

JJR京都駅前のタクシー乗り場には観光客が次々と訪れ、待機するタクシーはまばらだった=京都市下京区
JJR京都駅前のタクシー乗り場には観光客が次々と訪れ、待機するタクシーはまばらだった=京都市下京区

水際対策の大幅緩和や政府の観光支援策「全国旅行支援」に伴う観光客回帰の一方で、全国的にホテルやタクシーといった観光業界で人手不足が深刻化している。新型コロナウイルス禍で離職や採用控えが続いた中、10月の宿泊・飲食サービス業の全国の新規求人数は前年同月比で約3割増加。企業側は3年ぶりのにぎわいの波を逃すまいと賃上げやロボット導入で観光需要を取り込もうと知恵を絞っている。(木下倫太朗、太田優、杉侑里香)

3年で乗務員2千人減

紅葉シーズン終盤の12月上旬、京都駅前のタクシー乗り場では旅行客が次々と乗り込み、待機場に止まる車両はまばら。60代の男性運転手は頻繁に配車要請の無線を受けながら「ありがたいことだが、休憩する暇もない」と息をついた。

タクシー需要が大きい京都でもコロナ禍に伴う乗務員減少は深刻な状況だ。京都タクシー業務センターによると、京都市域の法人タクシーの乗務員登録は10月時点で6277人。令和元年同期から約2千人減り、3年間で4分の3に落ち込んだ計算となる。

約10年前から減少傾向だったが、「この減り幅は異常」と近藤智彦事務局長。観光客激減の影響で転職した人や、感染リスクを危惧し業界を離れた高齢運転手も少なくなかったという。

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