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中国不在で回復見せる世界の旅行市場、アフターコロナに注目されるアジア太平洋のアウトバウンド市場は?

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世界的な旅行市場の本格的な回復に向けた最後の大きな壁の一つは、中国がいまだ姿を見せないこと、それに伴い多くの観光地が観光客数の大幅な不足に直面していることだ。それは10月以降、水際対策を緩和した日本でも例外ではない。スペインの旅行調査会社フォワードキーズ(ForwardKeys)は2022年の旅行市場を総括したレポートのなかで、国際旅行市場における中国の不在について言及している。

 

いまだ予測がつかない中国市場

新型コロナウイルス感染症の発生以降、中国発着の国際線は規制されている。国内線に関しては運航が認められているものの、新たな感染拡大を受けて閉鎖されることもあり、中国国内の旅行情勢は不安定だ。規制が解除されれば回復は早いが、変更は頻繁かつ突然で、そのたびに需要に大きな影響を与えている。

下の図は今年1月から10月までの国内線のチケット販売状況を2019年と比較したもので、上海(3月〜6月)や成都(9月1日〜9月後半)のロックダウンによる影響が大きく出たことがよくわかる。

▶︎2022年1月〜10月の中国の国内線販売状況(対前年比)

 

こうした国内旅行市場の問題や、政府がゼロコロナ対策の維持を表明したことを考えると、中国の国際観光再開にはまだ時間がかかることが予測される。

とはいえ、早期に渡航規制を緩和・撤廃した欧州やアメリカ大陸と比べ、アジア太平洋地域はつい最近まで、中国ほど厳しくないにしても多くの渡航規制があった。アジア太平洋地域の多くが開国した今、これらの地域が正常に戻れば、中国が国境を閉ざしたままにしておくことはますます難しくなるのではないだろうか。

ただ、中国が2023年に開国したとしても、不動産市場の危機やパンデミック関連の問題を含め、現在中国が直面している経済的な課題は、特に長距離路線において、旅行の回復を遅らせる結果になると思われる。つまり、中国のアウトバウンド旅行市場が完全に再開されるまで、パンデミック前の数年間に中国人観光客への依存度を高めた観光地は、別の市場に焦点を移す必要があるとレポートは伝える。

 

アジアのアウトバウンド市場、インドが注目される理由は?

パンデミック前のアジア太平洋地域のアウトバウンド市場トップ5は、中国、日本、韓国、インド、タイだった。このなかで、この先特に有望なのはインドだ。大きな理由は海外に居住する親族を訪ねるための旅行、いわゆるVFRの機会が多いことだが、もう一つは中産階級の増加で、海外へのレジャー旅行を楽しむ機会が増えている点だ。

また、下の図にあるように、インドの域内旅行市場は比較的小さいが、パンデミック前の5年間は、アジア太平洋地域の他の主要なアウトバウンド市場のどこよりも高い成長(+10.4%)を遂げていた。インドが完全に再開された今、特に域内のアウトバウンド市場としての発展が加速するとレポートは予想している。日本のインバウンド市場にもヒントとなるのではないだろうか。

▶︎アジア太平洋地域の主要市場の出国数(2019年対2015〜2019年の年平均成長率)
左より、中国、日本、韓国、インド、タイ(緑=国際線 橙=域内)

レポートはさらに、経済状況が改善され、より多くの国民が海外旅行できるようになったタイが、ますます貴重なソースマーケットとなりつつあること、また、パンデミック以前は中国を除くアジア太平洋地域のアウトバウンド市場の上位2カ国であり、最近旅行が再開された日本と韓国が、重要なソースマーケットとして再び地位を確立することが期待されていると結んでいる。

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