G20開催地のインドネシア・バリ島、新たに「デジタルノマド」向けのビザ発給へ、旅先テレワークを推進

2022年11月15日にインドネシア・バリ島でG20サミットが開幕した。AP通信は、開催地である世界的な観光地バリ島の観光産業の現状と、国際会議が与える影響を報じている。

バリ島は、新型コロナウイルスの感染拡大で大きなダメージを受けた。コロナ前は毎年620万人の外国人旅行者が訪れていが、2020年にはわずか100万人にまで減少。それも最初の数ヶ月の数字で、2021年には51人にまで激減した。

これによって、バリ島では観光業に従事する9万2000人あまりが職を失い、ホテルの稼働率は平均20%を下回った。2020年の経済規模は前年比9.3%縮小。2021年もさらに2.5%近く縮小したと言われている。

今年に入って、状況は好転。15日から始まったG20サミットがさらに回復を後押ししている。G20のみならず関連イベントにも何千人もの人々が訪れたことで、地元経済に好影響を残している。今年10月時点での外国人旅行者は約150万人まで回復した。

一方で課題もある。観光業から人材が流出しており、再雇用を進めようとしても、海外などで仕事をすでに見つけている人も多いという。

バリ島の観光産業は、これまでも火山の大噴火や洪水などの自然災害やテロなどによって壊滅的な被害を受けてきた。バリ島の事業者の中には「バリ島の観光は砂の城のようなもの。美しいが、すぐ波に流されてしまうこともある」と言う人もいる。

それでも、バリ島は旅行市場が回復に向かうなか、新たな挑戦にも取り組む。持続可能な観光への転換を進めるとともに、新たに「セカンドホーム」と呼ばれるデジタルノマド向けのビザ制度を今年12月から始める。これは、旅先テレワークの拡大に積極的なエアビーアンドビー(Airbnb)との提携で実施されるもの。Airbnbと提携したデスティネーションは世界20ヶ所にのぼり、カリブ海やカナリア諸島でも同様の取り組みが進められている。

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