イスラム教徒の旅行、アプリで支援 キャピタルA
【シンガポール=谷繭子】マレーシアの格安航空会社(LCC)エアアジアの持ち株会社であるキャピタルAはイスラム教徒向けに、自社アプリを通じて格安ツアーの手配やネット通販が利用できるサービスを始めた。聖地メッカ巡礼に加えて同教徒が安心して行ける非イスラム圏への旅行も取り扱う。マレーシアやインドネシアなど東南アジアのイスラム教徒への浸透を狙う。
サービス名は「イクラス」。キャピタルAが運営するスマートフォンの多機能アプリの一部として10月中旬、まずマレーシアで本格的に始めた。
同社グループは11月半ば、クアラルンプールとサウジアラビアのジッダを結ぶ航空路線を再開する。これに合わせ、聖地メッカへの巡礼ツアーを売り出した。特定の巡礼月以外にも、年間を通じて短期の「小巡礼」としてメッカを訪れる一定の需要がある。9日間で5990リンギ(約19万円)からと「一般的なツアーより割安」(同社)だという。
韓国の観光パッケージ商品「ソウルの冬体験」など、非イスラム圏へのツアーも提供する。教義に沿った「ハラル」の食事を組み込み、気楽に旅行できるようにする。インドネシア・バリ島やタイ・プーケット行きなどにも対応する。
イクラスには宗教上の寄付金納入や宗教行事の予約など、イスラム教徒の生活支援のサービスも盛り込んだ。毎日のお祈りに使うマットなどの道具や衣類、食品などのネット販売もある。
キャピタルAは非航空事業による売上高の増加を目指し、デジタル事業を強化している。多機能アプリで航空券やホテルの予約、配車、食事宅配なども提供している。
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