Air Canada
- エア・カナダは9月15日、スウェーデンのスタートアップ、ハート・エアロスペースに電動航空機「ES-30」を30機発注したと発表した。
- この航空機は、完全電動モードで最大200km、重量制限付きで最大800kmの飛行が可能だ。
- ハート・エアロスペースは、ユナイテッド航空などから多くの受注を獲得している。
モントリオールを拠点とするエア・カナダ(Air Canada)は、より環境に優しい企業に一歩近づいた。
同社は2022年9月15日、スウェーデンのスタートアップ、ハート・エアロスペース(Heart Aerospace)に30機の電動航空機「ES-30」を発注したことに加え、500万ドル(約7億円)を出資したことを発表した。
2028年に就航予定のこの航空機は、2人掛けシートが並ぶ30人乗りで、完全電動モードでは最大200km飛行できる。さらに、バッテリーを発電機で補った場合は400km、定員を25人に制限した場合は約800kmまで航続距離を伸ばすことができるという。
「エア・カナダは気候変動への対応において、業界をリードする立場を取っている」と同社の社長兼CEOであるマイケル・ルソー(Michael Rousseau)はプレスリリースで述べている。
「ハート・エアロスペースが製造する地域間輸送用の電動航空機『ES-30』を当社の保有機として導入すれば、2050年までにネットゼロエミッションを達成するという当社の目標へと一歩近づくことになる」
今回の発注は、エア・カナダの脱炭素化への取り組みを補完するものだ。ルソーによると、同社は二酸化炭素排出量を削減するために、持続可能な航空燃料(SAF)と二酸化炭素回収システムの開発を進めている。
同社は2022年4月、サンフランシスコからカナダのトロント、バンクーバー、カルガリー、モントリオールに向かう4便を石油精製会社ネステ(Neste)から調達したSAFで運航した。
ハート・エアロスペースの電動航空機を発注した北米の航空会社はエア・カナダで2社目となる。2021年7月には、ユナイテッド航空(United Airlines)が地域パートナーのメサ航空(Mesa Airlines)とともに、19人乗りの「ES-19」を200機購入すると発表した。同機は2026年に就航する予定で、ES-30より2年先行している。
他にもいくつかの航空会社がハート・エアロスペースに関心を寄せている。ニュージーランドのサウンズ・エア(Sounds Air)は、2026年までに「少なくとも3機」のES-19を保有すると述べている。フィンランドのフィンエアー(Finnair)、スウェーデンのBRA(Braathens Regional Airlines)、ノルウェーのウィデロー(Widerøe)、デンマークのエア・グリーンランド(Air Greenland)、ケベックのパスカン(Pascan)、カリフォルニアのカンタム・エア(Quantum Air)、イギリスの新しい航空会社シティクリッパー(CityClipper)、スカンジナビア航空(Scandinavian Airlines)が、この航空機の購入同意書にサインしたとAIN Onlineが報じている。
世界の航空会社や航空規制当局が2050年までに排出ガスをゼロにすることを推進する中、航空業界がより環境に優しい運航に向けて動き続けていることを背景に、電動航空機への関心が高まっている。ユナイテッド航空はエンブラエル(Embraer)の電動垂直離着陸機(eVTOL)「Eve」を200機発注すると9月8日に発表し、アメリカン航空(American Airlines)はヴァーティカル・エアロスペース(Vertical Aerospace)の「VX4 eVTOL」を7月に発注している。
現在、アメリカの主要航空会社の中で電動航空機に投資していないのは、デルタ航空(Delta Air Lines)だけとなっている。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)