タイ、コロナ対策の非常事態宣言を解除へ 2年半ぶり
【バンコク=村松洋兵】タイ政府は23日、新型コロナウイルス対策で発令中の非常事態宣言を9月30日で解除する方針を決めた。感染状況の改善を受けた措置で、同宣言の解除は2020年3月の発令以来、2年半ぶりとなる。軍政の流れをくむプラユット政権は同宣言に基づいて反体制デモなどを禁じたことから、権力維持に利用していると批判されていた。
来週に開く閣議で正式決定する。タイ政府は10月1日に感染症対策における新型コロナの分類を変更し、従来の「危険な感染症」から「監視すべき感染症」に格下げすることを決めている。入国制限の完全撤廃や、感染者の隔離義務の解除も検討している。
タイの1日当たりの新規感染者数は足元では1000人前後で推移している。変異型「オミクロン型」の流行で一時2万人を超えたが、感染者数の集計を入院者数に改めたため減少した。実際には現在も多数の感染者が出ているとみられるが、重症化率が下がっていることから対策の緩和を決めた。
タイ政府はコロナ対策の緩和により経済再建を急ぐ。タイにはコロナ流行前の19年に約4000万人の外国人旅行者が訪れていたが、22年は約1000万人にとどまる見通しだ。23年は観光収入を19年の8割程度まで回復させることを目指している。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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