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2022年第2四半期の旅行動向、価格上昇でも需要増。インクルーシブトラベルへの関心高まる

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2022年第2四半期(4-6月)の旅行者の動向調査について、エクスペディアグループが行った分析レポートが発表された。主要なポイントは以下の5つになる。

1 旅行検索回数は堅調に推移
2 検索期間は短め
3 長距離旅行の復活
4 価格上昇でも需要増
5 インクルーシブトラベル

それでは順番に見ていこう。なお文中や図に出てくるアルファベットは、APAC(アジア太平洋)、EMEA(欧州・中東・アフリカ)、LATAM(中南米)とNORAM(北米)を意味する。
(図出典:expedia group, Q2 Traveler Insights Report)

 

旅行の検索回数は堅調に推移

海外旅行に関する規制解除が進む中、旅行者の旅行意欲は第2四半期も堅調に推移した。

2021年の第4四半期から2022年第1四半期にかけて、旅行検索数は前四半期比25%の急増を記録したが、第2四半期には世界的に横ばいに推移。地域別では、第1四半期から第2四半期にかけて2桁の伸びを見せた地域もあり、特にAPACでは30%増となった。

6月10日にアメリカが国際航空旅客に対する出国前検査要件の解除を発表すると、6月13日の週には全世界で国際線検索が10%急増し、APAC、EMEAからの検索は2桁増となった。これは旅行者が引き続き熱心に旅行計画を立てていることを示している。

 

検索期間は短め

第1四半期と比較すると、第2四半期は世界的に検索期間が短くなり、91日〜180日は前四半期比で20%以上減少。一方、61日〜90日の検索期間は15%増で最も伸びた。0日〜90日も5%以上増加している。

第1四半期は旅行者が夏季休暇を計画する時期だったため比較的長めに検索したが、第2四半期にその期間のシェアが減少したのは、単に勢いが落ち着いたためだろう。また、燃料費、ひいては航空券の価格が下がることを期待して、旅行者がタイミングを見ている可能性もある。ただ、これらの数字はエクスペディアグループが2022年4月に行った、「12カ月以内に旅行を計画している消費者の大半は、3カ月以内に実際の旅行を予約することに満足している」という調査結果とも一致している。

▶︎各地域の検索期間のシェア(左:国内、右:海外)

 

長距離旅行の復活

これまでと同様、大都市とビーチは世界的に人気があるが、なかでもロンドンとパリは、すべての地域の旅行者に人気があることがわかった。実際、ロンドンはAPAC(アジア太平洋)とEMEA(欧州・中東・アフリカ)で最も予約の多い都市となり、LATAM(中南米)とNORAM(北米)でもトップ10入り。パリも、NORAMを除くすべての地域のトップ10にランクインしている。東京はAPACではロンドンに次いで予約が多いが、他のアジアの都市と同様、他の地域のトップ10には入っていない。

▶︎各地域の予約旅行先トップ10

また、長距離便(4時間以上のフライト)の需要が増え、遠距離の目的地が復活していることがわかる。実際、世界の旅行者の長距離便の需要は50%以上増加、米国からヨーロッパへの便はさらに好調で、前年比100%以上の伸びを示した。特に、ロンドン、パリ、ローマが三大人気都市となっている。

 

価格上昇でも需要増

長距離便の需要に加え、宿泊需要も第1四半期に引き続き好調に推移し、宿泊予約件数はエクスペディアで過去最高を記録。旅行需要がさらに改善したことにより、前年同期比では総予約数が2桁増となった。

価格上昇にもかかわらず、強い旅行需要があるのも特徴だ。2019年第2四半期と比較すると、世界平均の航空券価格はEMEAとAPACでは2桁の上昇となったが、これは重要そのものや、燃料費の高騰、長距離便予約の増加によるものと思われる。

 

インクルーシブトラベル 

世界中の人々が、サステナブル、インクルーシブ、アクセシブルという、より有意義で良心的な旅行体験をするための方法を求めるようになっている。

エクスペディアの最新レポート「Inclusive Travel Insights」によると、92%の消費者が、旅行業者はすべての旅行者のアクセシビリティのニーズを満たすことが重要であると考えているが、実際に旅行を検索・予約する際に、アクセシブルなオプションを見たことがある消費者はわずか半数しかいない。また、あらゆるタイプの旅行者を受け入れるインクルーシブな選択肢を見たことがあると回答した消費者も52%しかいなかった。

エクスペディアの調査ではまた、10人に7人が、たとえ料金が高くても、あらゆるタイプの旅行者を受け入れるインクルーシブな旅行先、宿泊施設、交通機関の選択肢を選ぶことがわかり、78%が、自分たちの特性を表していると感じるプロモーションや広告に基づいて旅行を選択したことがあることがわかった。

こうしたことから、旅行市場におけるアクセシブルでインクルーシブな選択肢の不足を改善することは今後ますます重要になっていくだろう。

 

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