新型コロナウイルスの感染急拡大により全国旅行支援の延期が14日に決まった一方、3年ぶりに行動制限がない夏に向け、航空や旅行の需要はコロナ禍前の水準に近い回復が見込まれている。底堅い需要の理由について、政府の観光支援策の有無にかかわらず、「利用客は自主的に行動している」(航空会社幹部)と分析する声も上がる。
空の便では、ANAグループの国内線予約は7、8月がコロナ禍前の9割まで回復。今月16日からの3連休はコロナ禍前と同じ水準に達しているという。日本航空も7月が8割、8月は9割まで戻っており、お盆期間では早くも満席の便が出ているとしている。
鉄道はJR東日本で8月に向けて上向いているといい、「最近は直前になって予約が増える傾向にあるので期待している」と話す。
JTBによると、7月15日~8月末の国内商品の予約状況は、7月5日現在で前年比65%にとどまる。ただ、6月末時点で各種統計などから全体の国内旅行者数も消費総額も、コロナ禍前の95%前後まで回復することが予測されるという。
同社が6月下旬に実施したアンケートでは、旅行日数が「1泊」は35・7%で最多だったが、昨年より6・2ポイント減。一方で「2泊」(33・1%)と「3泊」(18・3%)はそれぞれ増加した。今年は昨年よりも日数を延ばし、遠方に行く人が増えているとみられる。
ただ、航空会社関係者は「感染拡大が進むにつれ、予約件数の増え方に若干の鈍化がみられる」としており、今後も予断を許さない状況が続く。