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KNTの「Webファースト」宣言、新会社トップに聞くその後

Webファーストから「Webプラス」へと変化
メイト・ホリデイとクラツーのサイト統合の行方は

-今年5月には予約サイトのトップページをリニューアルし、カテゴリーなどを整理した「カタログ型サイト」から「探す必要のない提案型サイト」に刷新しましたが、その効果は

瓜生氏 瓜生 アクセスの65%を占めるスマートフォン版と、パソコン版のインターフェイスを同一のデザインにした。各部門のトップページに旅行商品の情報などをわかりやすい写真とともに配置し、目的とする情報にアクセスしやすい構成にした結果、コンバージョン率は数%上がった。現在のコンバージョン率についてはスマホ版とパソコン版で大きな違いはないが、スマホ版はこれからアクセス率もコンバージョン率も伸びていくだろう。

 今年12月にはさらなるリニューアルを実施し、CMS(コンテンツ管理システム)を入れ替えて、商品の出し入れをよりスムーズにする。例えば「さっぽろ雪まつり」の特集ページを作る時には、ウェブサイトに点在する雪まつりの商品情報を簡単に集約できるようになり、お客様に旬の商品を早いタイミングで出せるようになる。あわせてデザインも見直し、写真に加えて動画も掲載する計画だ。

-会員の増加に向けた施策については

現在の「近畿日本ツーリスト」のトップ画面 (クリックで拡大)瓜生 これまでのウェブサイトでは会員募集のページが分かりにくかったので、トップページに掲出した。ポイント付与などお客様にメリットがある色々なプロモーションも実施していて、今後は東京オリンピック・パラリンピックのパートナー企業であることを生かし、関連商品をフックにしたオープン懸賞も実施したいと考えている。オリンピック関連商品については来年4月の販売に向けて準備しており、年明けには専用サイトを立ち上げたい。

-高付加価値商品のウェブ販売についての施策は

瓜生 宿泊商品などの単品販売だけではOTAにかなわないので、今後はクラツーのテーマ性の高い商品を「近畿日本ツーリスト」でも販売することで差別化し、新たなお客様を取り込めると見込んでいる。これからお客様のITリテラシーが上がっていけば、ある程度複雑な商品もウェブで買っていただけるようになると思う。たとえば北海道の「ふっこう割」関連の高付加価値商品は、すでに完売している。

-「近畿日本ツーリスト」での販売が今年度の個人旅行取扱高において占める割合は

瓜生 昨年度は27.5%だったが、今年度は30%弱くらいになると見込んでおり、20年度には50%をめざす。売上高を伸ばしながら割合を上げていかなければいけないが、各種の施策がこれから身になってくるだろう。目標は十分に達成できると考えている。ウェブでの販売高については、今年度は「近畿日本ツーリストで前年比17%増の275億円、「クラブツーリズム」で23%増の620億円をめざしており、現時点では若干計画値を下回っているが、ここ半年では前年比10%以上の伸びを示している。

-ウェブ販売における個人旅行取扱高の海外・国内・訪日の比率は

瓜生 現在のところは国内が7、海外が3といったところで、訪日についてはまだまだ少ないが、非常に伸びしろは大きいと考えている。今後は具体的な施策についてプロジェクトを立ち上げ、伸ばしていきたい。訪日についてはウェブ販売だけではなく、海外の代理店との提携や、現地法人の活用も進める。

 海外旅行は利幅が大きいので伸ばしていきたいが、そう簡単にはいかないと考えている。とはいえクラツーが販売しているテーマ性が高い、なかなか個人では行けないようなデスティネーションの商品などは積極的に展開していきたい。

-ウェブサイトの利用者の年齢層は

瓜生 男女ともに40代と50代が中心で、この世代が全体の約45%を占める。20代と30代は20%で、女性の方が多い。「近畿日本ツーリスト」の顧客はファミリーが中心なので、若い世代にどのようにアプローチするかが課題となっている。今後は「ファン作り」が大切になるだろう。

 若い世代の取り込みについては、得意とする修学旅行から取り組んでいきたい。そのための施策の1つとして、来年4月頃には修学旅行向けのスマホアプリをリリースする。旅程の管理、写真の共有、保護者とのコミュニケーションなどの機能を備えたもので、このようなデジタルツールを提供していくことで、若い世代のファンを獲得したいと考えている。