出入国が顔パスに?―航空局など空港イノベーションめざす

IATA調査結果より転載

 IATA日本代表の藤原勇二氏が紹介したのは、IATAが進める空港関連の取り組み。IATAによる調査では、旅行者の64%が時間短縮のためであればバイオメトリクス認証を支持すると回答したほか、49%が自分で受託手荷物を処理したいと答え、さらに許容できる待ち時間は平均で手荷物が3分、出入国が10分という結果が出たという。(調査結果PDF

 こうした旅行者のニーズに答えるため、IATAではまずチェックインに関連して「Off-Airport」と「2 Steps Check-in」のイニシアティブを推進。前者はモバイルチェックインなど空港外でできることはできる限り空港外で済むようにするもので、後者はCUSS(自動チェックイン機)やCUBD(自動手荷物預け機)などを活用し、段階的にチェックインの処理をすることで混雑を回避しようとするもの。

 前者については、日本の国内線では当然となっている、オンラインチェックインを終えて受託手荷物がなければそのまま保安検査場に向かうことができる仕組みも実現が迫っているという。また、その保安検査場でも最新機器を導入することで時間が短縮できたり、フルパットダウン(全身を触るボディチェック)の回数を減らしたりすることが可能だ。


SITAによる「スマート出入国管理」のイメージビデオ

 また、イミグレーション関連では「Automated Border Control(ABC)」を紹介。文字通り出入国審査の自動化を推し進めるもので、例えばシンガポール・チャンギ国際空港では入国時に指紋を取得することで出国審査は自動で実施できるようにしているほか、オーストラリアでも入国歴があればゲート通過時に以前の顔と照合することでパスポートなどの提示を不要とする試みも始まっている。

IATAウェブサイトより転載  さらに「One ID」という取り組みでは、現状では航空会社や保安検査場、出入国審査などすべてのタッチポイントでパスポートの提示などを求められるのに対し、チェックイン時など初期段階の処理情報を一気通貫で後のプロセスに活用する仕組みを構築しようとしている。ここで用いられるのも顔などのバイオメトリクス認証だ。

 なおIATAでは、こうした「Off-Airport」のコンセプトやデジタル処理、ロボット技術の活用などを通して旅行体験を刷新するプロジェクト「NEXTT(New EXperience in Travel and Technologies)」も、スキポールやバンガロール、ドバイ、ヒースロー、深センの各空港会社と共同で進めているという。

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取り組み進むも、関係者の連携不可欠