プロジェクト「国境に行こう」始動-内閣府が離島観光支援
▽フジドリーム、チャーター実績をアピール-今後は旅行会社とも連携
発表会見では民間企業を代表して、フジドリームエアラインズ(JH)、ジェットスター・ジャパン(GK)、アソビューの3社が自主的に推進するプロジェクトについて発表。このうち、JHからは取締役副社長の米原愼一氏が登壇して、2017年度に運航する約1500便(片道ベース)のチャーター便の3分の1近くが、国境の島々やその周辺に向けたものであることをアピールした。
同社が使用しているエンブラエル機については「滑走路が1500メートル以上あれば着陸できる」と述べ、離島の小規模空港への運航に適していることを説明。モニターツアーについては「まずは空港のある島から開始して、将来的には現在は使われていない空港も使えるような流れを作りたい」と意欲を示した。
GK取締役常務執行役員の藤岡秀多氏は、鹿児島路線などを若年層に紹介し、安価な運賃でソーシャルメディア向けのフォトジェニックな「しま旅」が実現することをアピール。アソビュー代表取締役の山野智久氏は、ウェブサイト「asoview!」で離島のアクティビティーも多数取り扱っていることについて述べた上で、情報サイト「asoview! TRIP」において、資本業務提携契約を締結したエイ出版社(エイは木偏に世)と共同で特集記事を展開する考えを示した。
そのほかには島根県隠岐郡海士町長の山内道雄氏と、五島市長の野口市太郎氏も挨拶。このうち山内氏は、有人国境離島法の施行に感謝の意を示すとともに「離島は交流人口があってこそ活性化する」と述べ、交付金により島民への適用が開始された連絡船などの運賃割引が、島民以外にも適用されるよう要望した。
なお、この日は旅行会社からの登壇者はなかったが、内閣府総合海洋政策推進事務局参事官の佐藤弘之氏は本誌の質問に対し、今後は旅行会社や業界団体などとも連携を進める考えを説明。「今回のプロジェクトは参加基準などを決めていない“ゆるやかな取り組み”なので、主旨に賛同していただける旅行会社を増やしていきたい」と述べた。
日本の国境およびその周辺地域への旅行については、6月末には北方四島への官民調査団に日本旅行業協会(JATA)などが参加し、7月には産官学によるボーダーツーリズム推進協議会(JBTA)が設立総会を開催するなど、動きが活発化している。JBTA会長の伊豆芳人氏は本誌の取材に対し、内閣府のプロジェクトについて「まさにJBTAが取り組んでいることであり、我々も微力ながら連携できれば」と期待を示した。