ランデヴー・フランス、日本市場の回復に期待、地方を訴求

  • 2016年4月21日

JATAとの関係強化で日本市場再生へ
仏文化や地方の観光素材をアピール

LRMPは地方再編成により素材に幅
多様なテーマを発信

LRMPのブース  フランスでは今年1月に地方の再編成がおこなわれ、22地方が13地方に統合された。このほど開催地となったモンペリエのあるラングドック・ルシヨン地方はミディ・ピレネー地方と合併し、今回のRDVEFでは「ラングドック・ルシヨン・ミディ・ピレネー観光局」として1つのブースを構えて参加した。

ミディ運河クルーズの発着地のひとつ、ル・ソマイユ村  LRMPプロモーション・マネージャーのジャック・ダウラス氏は、両地域にとってこの統合は「歴史的に1つの地域圏だったこともあり、今後ピーアールの幅が広がる」と期待を示した。例えばユネスコの世界遺産に登録されているミディ運河や、キリスト教のカタリ派の歴史など、両地方にまたがっていたテーマが1つの地方内にまとまることから、総合的なプロモーション活動が実施しやすくなるという。RDVEF前夜祭で登壇したLRMP地方県議会議長のキャロル・ドゥルガ氏は「統合によりLRMPはより魅力的な観光地を手に入れた。今後は観光における国際競争のなかで、観光地としてのポテンシャルを高めるため、開発を進めていきたい」と話した。

(左から)RLMP地方県議会議長のドゥルガ氏  ミディ・ピレネー地方は5年ほど前から積極的に日本市場に対するプロモーション活動を実施しているところ。同氏によれば「フランスの最も美しい村」に選ばれたサン・シル・ラポピーや、サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路のロカマドゥールなど訴求力の高い目的地をはじめ、スキーやサイクリングなどをフックとしたSIT要素の強い商品などが旅行会社により造成・催行されており、ここ数年で年間約2万8000人の日本人客が訪れているという。

 ドゥルガ氏は「地方には、パリではできないことを求められている」として、今後はトゥールーズの管弦楽団のコンサートやモンペリエの音楽祭、ダンス・フェスティバル、同地方で特に盛んなラグビーなど、テーマ性の強い素材も積極的にアピールする方針を説明。「2021年までに日本人観光客数を(現在の)25%増まで伸ばすことが目標」と述べた。

モンペリエの中心部コメディ広場。正面はオペラ座  今回のRDVEFの主催都市となったモンペリエは人口約27万人。中世から大学都市として栄えた旧ラングドック・ルシヨン地方の中心地で、現在も約6万5000人の学生が学ぶ学術都市だ。日本人観光客はまだわずかだが、モンペリエ市議会議員観光担当であるヴェロニク・ペレス氏は「高品質な旅行を求め、文化・歴史に関心の高い日本人客を待ち望んでいる」と語った。

 日本市場に対するフランスからの期待は依然として高い。これに応えるべく、日本側も需要喚起とともに、市場が動き始めたときに即座に対応できる準備が必要と言えるだろう。


取材協力:フランス観光開発機構、ラングドック・ルシヨン・ミディ・ピレネー地方観光局
取材:西尾知子