「ミュゼトラベル・沖縄ツーリスト」が誕生、女性客の沖縄誘致で連携
OTSは「選択と集中」で着地型強化
ミュゼは「グループの中核事業に」
沖縄への送客でトップに
ジングループは、フィリピン方面を得意としていたタートルトラベルを買収して旅行業に参入。2012年8月には社名をジンジントラベルに変更し、更に昨年9月には、ミュゼプラチナムのブランド力を活用してF1層の取り込みを強化すべく、現在のミュゼトラベルへと社名変更をおこなっている。
しかし高橋社長によれば、タートルトラベルは海外航空券の発券などを強みとしていたため、国内の宿泊施設の仕入れには慣れておらず、「会員の間で沖縄の人気は非常に高いが、送客しようにもホテルの部屋がない」状態が続いていたという。また、「会員は多くても、ウェブでの販売スキルやノウハウについてはまだまだ不十分」とのことで、そのような状況の中、仕入れの面などで協力関係にあったOTS本土地区カンパニーとは、1年程前から協業に向けた検討を進めていた。
高橋氏は今後のミュゼトラベル・沖縄ツーリストの事業展開については、「ミュゼプラチナムの女性への認知度を活かし、様々な仕掛けをしていく。女性に特化するだけでなく、特色のある旅行を提案したい」と説明。ジングループの強みとするマーケティング力や顧客管理能力に関しては、「会員のデータベースについては業界で最も優れており、顧客の反応度の高い情報をピンポイントで提供できる」と自負するとともに、「(飲食事業など)エステ以外のビジネスでも成功事例はある」と自信を覗かせた。
ミュゼトラベルの昨年の売上高は約40億円。OTS本土地区カンパニーの売上高との合計は220億円となるが、ミュゼトラベル・沖縄ツーリストでは県を代表する老舗のOTSのノウハウ、驚異的な成長を続けるジングループの資本力などをもとに、2016年度までに売上高300億円をめざす。当面はミュゼトラベルの2店舗とOTS本土地区カンパニーの10店舗で事業を運営し、本社も東京のミュゼトラベル本社を継続して使用する。今後の店舗網拡大については、ミュゼプラチナム会員の半分が首都圏に集中していることや、OTSの既存店舗の売り上げを拡大することを念頭に置き、検討するとした。
高橋氏は新たな社名に「沖縄ツーリスト」を盛り込んだ理由について、「沖縄に特化し、沖縄への送客でトップになるため」と説明。沖縄への旅行者についてはOTSのブランドを前面に押し出してアピールする意向を表明した。本土から沖縄への送客数については、昨年は約45万人だったが「近い将来に80万人」をめざす。「沖縄への送客でトップ」の目標達成については、「それほど難しいものではなく、数年以内に可能」との見方を示した。
なお、ミュゼプラチナムの海外店舗はシンガポールだけでなく、香港やマレーシアにも複数あり、今年11月にはインドネシアへの出店を予定していることなどから、ミュゼトラベル・沖縄ツーリストでは訪日外国人旅行者の取り込みにも注力する考え。沖縄については、これらの国々からアクセスしやすいデスティネーションとして訴求する。高橋氏は同社の今後のあり方については、「完全に送客に特化した旅行業として発展したい」とビジョンを示した。