「ミュゼトラベル・沖縄ツーリスト」が誕生、女性客の沖縄誘致で連携
OTSは「選択と集中」で着地型強化
ミュゼは「グループの中核事業に」
本土事業譲渡は「上場に匹敵」
今回の事業譲渡について地元沖縄では、「本土の大資本が沖縄の旅行会社を飲み込もうとしている」との声も挙がっている。しかし東氏は、譲渡は「選択と集中」を意図したもので、「新たな事業展開に人・モノ・金を集中できる」メリットを強調する。ちなみにOTSグループの昨年の業績は、売上高約355億円、経常利益約8600万円、純利益約7600万円。東氏によれば、本土地区カンパニーはグループ売上高のうち半分以上の約180億円を売り上げる、「実績のある稼ぎ頭」だ。
「稼ぎ頭」を送り出す一方でOTSは、今後は海外展開を活発化し、「ますます伸びる外国人観光客に集中・特化し、大きく進化する」(東氏)考えだ。訪日旅行者が急増する沖縄で、同社が取り扱う訪日外国人旅行者は今年中に10万人を超える見通し。今後は外国人旅行者の受入体制の更なる整備に着手し、まずは今月22日に、業務量が拡大している台湾のグループ企業の大原旅行社の事務所を移転し、ホテルとレンタカーの予約センターの人員を拡充する。
また、早ければ今月中にも、シンガポールで新たな現地法人のOTSグローバル社を設立する。4、5名程度の人員で業務を開始し、英語とタイ語の予約センター業務を主業務として、台湾の予約センターでは対応していない中国語話者以外の顧客を開拓する考え。そのほか現地の提携企業のサポートなどをおこないながら、将来的にはFITの取り込みにも注力する。
シンガポールには、既にミュゼプラチナムの店舗が6軒あることなどから、東氏は大きな送客が見込めるとの見方を示し、「女性営業社員を確保して店舗向けにセールスをおこないたい」と意欲を示した。また、シンガポールについては、シルクエアー(MI)が9月9日から開始し、来年1月までに12本を予定している那覇/シンガポール間チャーター便の日本発分の販売も担当する。
そのほか、来年にはニュージーランド南島で台湾人や香港人、シンガポール人などをターゲットにしたレンタカー事業を開始する。同社の海外社員は、新設するシンガポール法人を含めて現在20名足らずだが、2年後には30名以上に増員するという。
OTSでは今後、沖縄色の強い高付加価値商品や国内外からのLCC路線に対応した商品の開発、来年3月に県内で開催される国際的イベント「コーポレートゲームズ」への協賛などによるスポーツツーリズムの振興、レンタカー事業や貸切観光バス事業の拡充などに集中することで、「より着地型旅行会社として充実」する考え。東氏は本土事業を除いた昨年度の売上高175億円を、来年度には200億円に伸ばす考えを示すとともに、「ホテル販売サイトの構築を進めることで飛躍的に人数を伸ばせる」と語った。訪日外国人旅行者の取り扱いについては来年中に15万人、再来年には20万人をめざしたいという。
本土地区カンパニーは今回の譲渡で、資本の面では沖縄ツーリストから離れる。しかし東氏は、「今回の吸収分割は上場に匹敵する効果がある。新たな翼をいただいた」との見方を示す。今後は「2つのOTSがパワーアップして沖縄観光に貢献する」との考えだ。