クローズアップ:店頭販売に新しい活路、ネット時代にこそ原点回帰
独自商品で勝負、間際化には店舗でのコンサルティングで対応
売れ筋傾向についても、両社とも独自視点の商品が人気のようだ。STWでは、昨年の震災の影響かどうかは定かではないとしながらも、震災後劇的に変わったのが女性一人旅の増加だという。しかも、ペルー、インド、スリランカなどそれまでは女性一人旅のデスティネーションとは考えられていなかったところが多い。「震災以降、自分への投資=旅行と考える女性が増えたのではないか」と武井氏は分析する。STWでは海外旅行の基準として「ひとり旅」や「女子旅」といったレーベルを展開。ホームページでのページビューも高く、商品も増やしている。
IACEトラベルでは、2つのホテルに宿泊するプランが人気を集めているという。例えば、グアムでは前半はプールでアクティブに過ごせるPIC、後半はゆったり過ごせるハイアットやアウトリガーといった商品がファミリー層に人気だ。また、ハワイへのハネムーナー向けには、前半はアウラニのディズニー、後半はワイキキのハレクラニやサーフライダーといった組み合わせの訴求力が高い。「料金は少々高めでも、お客様の満足度は高い」と水越氏は自信を示す。
一方、予約時期については間際化と早期予約との二極化が進んでいる。「特に間際化は年々エスカレートしている」とSTWの武井氏。「ホテルもエアーも時価対応になってくるため、スタッフのコンサルティング力がさらに必要になってくる。本当の間際は店舗で相談を受けながらの手配旅行になってしまう」と続ける。IACEトラベルの水越氏は「国内も含めて、広い視野で代替案を提案できることが旅行会社の意義」と話す。多様化・分散化する予約時期への対応は幅広いプランを持つ利点を生かしていきたい考えだ。
取材:山田友樹