インタビュー:名鉄観光 商品事業本部海外旅行部海外旅行部長の綛谷企史氏
12年の海外送客13万人めざし、インドシナ地域の販売強化
商品の「企画力」重視、名鉄ブランドアピール
-市場動向を踏まえた今年の取り組みを教えて下さい
弊社では2012年から3ヶ年の中期経営計画を開始しており、今年の海外年間送客目標を13万人、2014年は18万人をめざしている。目標達成のために、今年からパッケージツアー、団体旅行それぞれに重点送客地域を設定し取り組みを進めている。
パッケージツアーではベトナムをはじめとしたインドシナ地域に力を入れている。エジプトは昨年初頭の暴動発生以来回復しておらず、中国は尖閣諸島の問題以降あまり好調ではない。そこで、中東の落ち込みはペルーやアルゼンチンなどの中南米地域で、中国の落ち込みはインドシナ地域の販売に注力することで落ち込みを補おうとしている。
パッケージツアーでの取り組みの一環として、今年の夏は「ベトナムでリゾートする」をテーマにベトナムのダナンの販売を強化し、ベトナム航空(VN)と協力してテレビ番組を制作するなど販促活動を進めている。中部ベトナムは2006年、ダナンは2009年頃から販売を開始しており、今年特に強化する。市場の特性から中長期的な視点で市場を開発していく必要があると考えている。ダナンは名古屋地域の消費者にまだあまり知られていない。ゆっくりでも市場を開発していかなければ航空座席は増加しない。
-12年度上期は中部空港で近距離アジア路線が増え、座席数も増えましたね
中部空港のチェジュ航空(7C)の新路線開設などでソウルへの便数が増加し、値段も安価で行けることから、パッケージツアーでソウルの人気がますます高まっている。OLを始めとした女性層で「本当は違うところに行きたいが、こんなに安く行けるならソウルに変えよう」という傾向が生まれてきており、消費者が他のデスティネーションに行かなくなるのではと懸念を感じている。
ソウルを始め、香港や台湾など今回中部空港で便が増えた近距離のアジアは、新たにプロモーションするようなデスティネーションではない。増便は非常にありがたいが、これらの地域だけではエジプトや中国の落ち込みをカバーできない。さらにLCCの就航で価格競争になっていくため利益率は減少する。ダナンは認知が低い分、まだ高く売ることができるデスティネーションだ。弊社ではそうしたデスティネーションに注力していきたいと考えている。
一方、団体では韓国、台湾、中国への送客がトップ3だ。今後はベトナムやミャンマー、ラオス、インドや中南米にも拡大していきたいと考えている。また、全社重点地域としてはベトナム・カンボジア、タイ、フィリピン、香港の4方面を設定している。