アメリカン航空の再建、「年内再上場」に向けた現状
■財務改善の方法
コックス氏 コスト削減は大きく分けて人件費、非人件費の2分野に取り組む。非人件費は6億米ドル程度で、借入金やリース債務のリストラクチャリング、古い機材の退役、仕入先との関係見直し、設備関連経費の削減によって実現する。約12億5000万米ドルが人件費で、1万3000名の人員削減などにより、経営層から現場まで平均して約2割の人件費削減をめざす。
一方、収益増は、路線網の拡大や機材の更新と最適化、柔軟な経営を実現するための構造的障壁の撤廃、プロダクトとサービスの改善などに取り組む。プロダクトとサービスについては年間10億米ドル単位で投資をする計画で、対象には新シートの導入や機内エンターテイメントの充実、機内での無線LANサービス、ベッドメイクサービス、アドミラルズクラブの改善、「コンサルティング・シェフサービス」の導入などを含む。
■人員削減
コックス氏 全体で1万3000人の削減をめざすが、米国内では5万2000人の雇用は維持したいと考えている。
削減の対象は全階層におよぶ。すでに執行副社長を廃止したほか、上席副社長を14名から10名に削減した。すべての階層で公正におこなっていく。平均2割の人件費削減は、人員削減だけでなく業務のアウトソースや生産性の向上などの組み合わせで実現する計画だ。
なお、アメリカン・イーグル(MQ)については、30億米ドルの財務改善計画には含んでいるものの、1万3000人の人員削減には含んでいない。これは、MQについて今後サービスやコストを詳細に見直していく必要があるためだ。
■路線網の拡大方針
コックス氏 競争上の理由から、市場ごとの見通しを明かすことはできないが、今回の事業計画は、国内線、国際線いずれにも勝機があるという判断に基づいて作ったものだ。AAの5大ハブといえるダラス、マイアミ、シカゴ、ニューヨーク、ロサンゼルスの発着便を、今後5年間で国際線と国内線を合わせて20%増便していく。国際線と国内線の内訳も明かせないが、成長のポテンシャルの多くは国際線に見出しているということはいえる。
もちろん、アジアにおける潜在的な成長余力は是非とも取り込んでいきたい。このためにJLとの提携関係を有効活用することはいうまでもないだろう。東京を基点として、東京以遠のアジア各地と米国を結ぶサービスの需要は大きいと見ている。