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「座席増」時代の旅行会社の役割、航空会社との関係-JATA経営フォーラム

  • 2012年2月27日

2016年に供給座席は5400万席
需要創造は旅行会社の役割の一つ

航空経営研究所取締役副所長の牛場春夫氏

 発着枠が増加することで旅行会社の販売機会が増えそうだ。ディスカッションをする上では、航空経営研究所の牛場氏が試算した座席供給量の数字を使用した。

 牛場氏は航空局が計画する発着枠の増加から、LCC、既存航空会社の供給量の増加を試算。発着枠が大きく増える2013年度以降、機材の小型化が進む点などを保留した前提で、2016年には国際線供給量は5400万席と紹介。2012年はおよそ4000万席弱の予想のため、発着枠が拡大する4年間で1400万席が増える見通しだ。

 約1400万席の増加は、少なくとも現在より2割ほど多い販売量が市場に流通する予想となる。ただし、LCCによる座席供給が含まれるため、旅行会社の販売座席数がどの程度増加するか、見通しは難しい。また、需要が拡大しなければ、試算どおりにはいかない。牛場氏は「国の政策で旅客便の制約が取り払われ、物理的には最大限の供給に近づく。ただし、需要を作るのは旅行会社。需要を創造しないと供給もついてこない」とも付け加えた。

エスティーワールド最高経営責任者の鹿島義範氏

 需要の創出へ、旅行会社はどのような取り組みをしているか。エスティーワールド(STW)の鹿島氏によると、同社は販売の85%をウェブから受注しているが、この方向を転換し、「脱ウェブ」を進めているという。

 この数年、STWは店舗での接客比率が高まり、ウェブで完結する取扱量が下がっている。旅行について相談したいという顧客の要望がこれからも増えると見て、店舗に活路を見いだし、その舵取りを進めている。地方都市では特に、顔を合わせて予約をしたいという「信頼感」のニーズがあるという。完全にオンライン販売をやめる訳ではないが、航空座席が増え、需要が伸びる中で、「旅客がしっかりと選択ができるコンサルティング活動を伸ばしていく」と鹿島氏はいう。

トップツアー海外旅行部副部長の西村繁一氏

 一方、トップツアーは団体ツアーの提案型営業で、「古くさいことをできるだけ、新しい方法を取り入れながら、効率化をはかっていく」という。すでに、営業の管理職はスマートフォン、タブレット端末を携帯、Googleのクラウドを利用し、提案先で説明をする時に分かりやすく、かつ、その場で回答を出せるようにするなど営業を強化。旅行コンテンツを整備し、データベース化をすすめている。西村氏はデータベースを活用し、「提案の際に価値を出すことで、生き残っていく」との方針だ。