ハワイの「今」を駐在員の視点から-住民の生活とワクチン接種

12月中旬よりワクチン接種開始
観光サプライヤーは再開の動きも

ハワイにおける現在の規制緩和の状況

 ハワイ州では7日間の平均値と陽性率を規制緩和の指標としています。現在のハワイは、主に5名以上の集まりが禁じられたティア2で停滞しており、住民は制限が設けられた日常生活を送っています。

オアフ島におけるリオープニング・ストラテジー
ティア1ティア2ティア3ティア4
新規感染者数(7日間平均値)100名100-50名49-20名20名未満
陽性率5%5-2.5%2.4-1%1%


 昨年10月22日より3ヶ月を越えて続くティア2での住民生活ですが、観光業への大打撃など経済的な影響が注目されますが、それ以外の大きな影響として、学校教育を含めた子供たちの日常生活への影響も問題となっています。

 昨年8月に開始した2020年度の新学期は、オンラインで授業をしており一部の私立学校を除いて現在も継続しています。学区など地域によりますが、11月よりホノルル地区の公立小学校の低学年から順に登校して対面授業を再開しています。現在は3年生までが登校しており、4年生以降は今年3月からの登校予定となっています。

 中学校は名字のアルファベット別で登校曜日が決まっており、月に4日ほど登校、その他はオンライン授業となっています。高校は小学校とは逆に、卒業学年度生から順に、希望者のみ登校可能となっています。

 授業以外のスポーツなど、部活動もリオープニング・ストラテジーに沿って許可されることになっています。したがって、一部の私立高で陸上や水泳など個人種目のスポーツは練習再開をしていますが、バスケットボールやサッカーなど対人競技や団体競技は活動休止となっています。長期に及ぶオンライン授業、スポーツの制限は、子供への健康面や精神面の影響が懸念されています。

登校可能な学校も時差登下校、マスク、社会的距離の注意喚起は徹底されています

 また、観光客だけでなく地元民も楽しみにしている大型イベントもこの規制に沿って開催の可否が判断されており、ソーシャルディスタンスが保てない、規制が難しいと判断されたイベントは中止、または形態を変更して開催されています。

・トリプルクラウン・オブ・サーフィン:中止(公有地である海岸開催で規制が難しいため)
・PGAツアー・ソニーオープン:無観客での開催(私有地で規制が可能)

 一方、アロハスタジアムで開催されていたスワップミート(青空市)は、1月より再開され、賑わいをみせています。

ハワイにおけるワクチン接種状況

 感染封じ込めと新たな日常へ向けて欠かせないワクチンですが、ハワイでは12月中旬に最初のワクチンが到着し接種が始まっています。現在までの経過を日にち順に下記に簡単にまとめます。

・12月14日:ファイザー社のワクチン到着

・12月21日:モデルナ社のワクチン到着

・12月31日:ホノルル市の救急対応職員(消防士、ライフガード、救急隊員など)の58%が1回目のワクチン接種完了と発表

・1月13日:10万9250回分のワクチンが到着済み、約4万人が接種済み

・1月18日:大規模接種を行うため、クルーズ船のターミナルであるノルル港2番埠頭(ピア2)にワクチン接種センターを開設

・1月25日:ニール・ブレイズデル・コンサートホールに島内2番目のワクチン大規模接種センターを開設

・2月1日:15万名超の投与完了と発表(全州民141万の約10%)

(左)ホノルル港のワクチン集団摂取会場。供給量に合わせ該当者から順に予約制で行われています
(右)シェラトンワイキキにあるPCR検査センター。島間移動や帰国時にも陰性証明が必要です

 現在は、高齢者への接種を更に円滑に行うために、介護施設や高齢者用住宅の入居者やスタッフが「最寄りの薬局」でワクチン摂取できるように準備が行われています。

 米国では、薬局において薬剤師によるインフルエンザのワクチン接種が極一般的に行われており、新型コロナウイルスのワクチン接種が薬局で行われることに驚きはありません。 尚、ワクチン接種はCDC(疾病管理予防センター)のガイドラインに沿ってハワイ州保健局が設定した優先順、及び予約制で行われています。

 ワクチン供給がトラブル無く行われれば、初夏までには約7割の州民がワクチン接種完了予定となっています(但し、16歳未満の子供は治験が行われていないので接種なし)。

フェーズ1Aフェーズ1Bフェーズ1Cフェーズ2
カテゴリー医療従事者
介護施設居住者
エッセンシャルワーカー
高齢者(75歳以上)
成人(65~74歳)
高リスク病状のある人(16~64歳)
その他の人(16歳以上)
人口比6%20%47%27%
開始時期実施中実施中2021年春予定2021年夏予定
*エッセンシャルワーカー:刑務官、郵便局員、教職員、公共サービス従事者