京都府内の公示地価、平均2.6%上昇 観光需要の回復など背景

武井風花
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 国土交通省が26日に発表した公示地価(1月1日時点)で、京都府内632地点の平均変動率は前年比プラス2・6%になり、3年連続の上昇だった。前年のプラス1・3%から上昇幅が拡大した。新型コロナウイルスが5類に移行して観光の客足が戻り、ホテルやマンションなどの需要の回復が背景にあるとみられる。一方、府北部の多くの市町では下落傾向が続いている。

 住宅地の平均価格は15万3600円で、1・6%上昇した。利便性の高いエリアの需要が底堅く、京都市は全区で上昇傾向だった。府南部は下落傾向の井手町、横ばいの木津川市、宇治田原町以外は上昇。府北部では、亀岡市福知山市が上昇傾向で、他は地価下落が続く。人口減少や高齢化などが背景にあるとみられる。

 商業地は平均80万5千円で、5・1%の上昇だった。前年の2・5%から上昇幅が拡大した。コロナによる行動制限がなくなったことで、インバウンド訪日外国人客)を含む観光客数が回復し、観光地や繁華街などで大きく上がった。特に京都駅前の再開発への期待感が高く、商業地の上昇率上位5地点のうち4地点が京都駅付近にある。京都市の全区と府南部の全市町で上昇傾向にある一方、府北部の市町は地域経済の衰退の影響を受け、横ばいか下落傾向になっている。

 工業地は平均10万7600円で5・9%上昇。巣ごもり消費によるネット通販の好調を受け、物流施設用地を求める需要の堅調などで、前年の3・9%から上昇幅が広がった。府内で工業地がある市町の全てで上昇傾向となった。

 調査に携わった不動産鑑定士の村山健一さんは「良い材料がそろっているが、宿泊施設の飽和やオーバーツーリズムの再燃などの懸念もある」とし、当面は上昇するとみるが、今後も続くかは見通せないと話した。(武井風花)

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