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UNWTOとWTTC、トランプ大統領の入国規制を非難-IATAも

  • 2017年2月2日

 国連世界観光機関(UNWTO)と世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)はこのほど、米国大統領のドナルド・トランプ氏が1月27日に発令した大統領令により、中東とアフリカの7ヶ国の国民が90日間、米国への入国を規制されていることに対し、相次いで声明を発表した。ともに大統領令が「旅行の自由」を侵害するもので、米国の観光産業にも悪影響を与えると非難している。

 UNWTOは「国籍に基づく旅行禁止は、旅行の自由や旅行者の受け入れを促進している国際観光社会の基本原則に反するもので、米国を含む多くの国の経済成長や雇用創出を妨げる」と指摘。まて、人流に対する拙速な対応が緊張と脅威を高める可能性について述べた上で「旅行禁止という敵対的な手法は米国のイメージを損ない、米国旅行を減少させるリスクとなる」と主張した。

 WTTCも「大統領令は旅行の自由という基本的権利に反し、世界の旅行者と関係者に大きな混乱をもたらしている」と非難。大統領令については「本質が不明確で、事前の検討や航空会社などとの連絡が不十分」と指摘し、あわせて「2001年以降の米国における衝撃的な事件は、国外から飛んできたテロリストが起こしたわけではない。外国人が合法的な入国を防ぐことは、米国の経済にとって逆効果となる」と述べた。

 そのほかには国際航空運送協会(IATA)も声明を発表。国境警備に関する各国の主権を尊重する立場を示した上で、今回の大統領令に対しては「事前の調整もなく、IATA加盟各社は混乱やコスト増、罰則の可能性などの負荷を強いられている」と非難し、あわせて「現状についての明快な説明を求める」と訴えている。

 今回の規制の対象となっている7ヶ国はイラン、イラク、シリア、イエメン、リビア、スーダン、ソマリア。いずれも米国政府がイスラム教過激派組織などの活動を問題視している国で、昨年からは11年3月以降にこれらの国に滞在した人に対しては、ビザ免除プログラム(ESTA)による入国を認めず、ビザ取得を義務付けている。