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年頭所感(2)時代の変化に対応、各社が強み活かし価値創出へ

  • 2017年1月5日

▽ジャルパック代表取締役社長 藤田克己氏

 毎年と同じく、元旦は「初日の出チャーター」に搭乗した。ご来光に手をあわせ、今年の世界平和と旅行業界の繁栄を祈願した。

 今年は韓国・平昌での冬季オリンピック・パラリンピック大会まで残り1年、ラグビーワールドカップまで残り2年となり、2020年の東京オリンピック・パラリンピックも残り3年となった。マーケットはさらにスピードを上げて変わっていく。リアルから直販へのシフトもどこまで進むのだろうか。

 世界観光機関(UNWTO)によれば、国際観光は貿易を上回るペースで成長を続けており、観光産業は輸出において燃料、化学に次ぐ第3位となって、食料や自動車をも上回っているという。30年の世界全体の国際観光到着数は、現在の12億人から1.5倍の18億人に達すると予測されている。

 世界の潮流から取り残されないためにも、私たち旅行会社は企画力と創造力をさらに磨き上げ、新しいビジネスモデルに果敢にチャレンジしていく必要がある。今年は旅行会社がどう生き残っていくべきかを模索をする1年になるだろう。


▽東武トップツアーズ取締役社長 坂巻伸昭氏

 昨年は2020年までの中期経営計画を策定した。今年は「人財力によるソリューション」を事業活動の基本戦略として位置付け、人的な営業力、企画力、サービス力を強化することでお客様に選ばれ、取引先との共存共栄をはかる。次に「挑戦する企業風土への改革」をめざし、地域活性化事業など新たな領域に挑戦し、20年以降のビジョンの構築をはかる。

 そして「コンプライアンス経営の強化」もはかる。法令をはじめ、社会の良識やルール、社内規則や企業倫理など、さまざまなルールを遵守し、すべてのステークホルダーとの信頼関係を構築する。

 営業面においては、法人営業では強みであるMICE関連事業、教育旅行事業や訪日旅行事業などを中心に、旅行業の枠にとらわれない、国際社会に貢献できる基盤づくりを進める。個人営業ではカウンター店舗のお客様の利便性向上に努めるとともに、新ブランド「FEEL」のラインアップ拡充なども進める。

 新たな挑戦としては、東京オリンピック・パラリンピックの公式パートナーとしての活動を強化し、スポーツツーリズムや地域振興などで国や地方自治体との連携を強化する。合併から3年目を迎えるにあたり、企業基盤を確実なものにし、強化をはかりたい。


▽ANAホールディングスCEO 片野坂真哉氏

 今年はトランプ大統領就任後の米国経済の変化、英国のEU離脱交渉、欧州主要国の選挙、そして世界的な反グローバリズムの台頭、日本やアジアのトップリーダーと中国のトップリーダーとの政治・経済的駆け引きなどの動きが我々の事業に直接・間接的にインパクトを与える。観光立国政策や地方創生などを含め、我が国の政治・経済の動向も同様に目が離せない。

2017年は、
1.次なる成長ステージに向け初心に返り新たな一歩を踏み出す。
2.今年と来年は事業規模拡大のペースはこれまでの3年間よりやや緩やかになる。今年は安全を守り抜くことに加え、ANAグループの品質とサービスの総点検をおこなう。
3.品質やサービスを競合他社に負けないよう磨きあげる。お客様の嗜好の変化に対応できるよう、発想の転換が必要。
4.国際線で成長するという中期の基本戦略に変更はなく、ここぞという海外の都市には必ず翼を伸ばしていく。バニラエアの奄美大島就航による成功に倣えば、国内線でも新規路線の可能性は必ずある。
5.訪日外国人需要の取り込み、越境eコマースの強化、顧客資産ビジネスの拡大、AI、IoT、オープンイノベーションを活用した新規事業など、スピードを上げる。

 17年の経営の目標を漢字一文字で表すとすれば「結」だ。競合他社が国内と海外で攻勢を強めるなか、社員同士のみならず、協力会社や取引先企業の方々も含めたコミュニケーション、チームワーク、結束力で乗り切っていく。今年も安全を守り、全グループ役職員の力を結集して、世界のリーディングエアライングループをめざしたい。


▽日本航空代表取締役社長 植木義晴氏

 昨年は自然の脅威を目の当たりにした1年だったが、我々は人々、経済、文化の交流を促進して観光復興に貢献することで、東北や九州、北海道を応援してきた。引き続き復興支援を継続するとともに、「地域創生」の担い手として地方自治体とのタイアップ、訪日客の獲得と地方への誘客などにより、交流人口の拡大に努める。

 社内では、多様な人財が活躍できる職場環境づくりに力を注いできた。今年も女性の活躍をはじめダイバーシティを推進し、新しい企画や商品サービスの提供にチャレンジする。また、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けてスポーツの素晴らしさを広めるともに、将来を担う次世代育成を積極的に実施する。

 昨年は国内線のリージョナル機を除く全77機で、新仕様機材「JAL SKY NEXT」への改修を完了した。今年も中長距離国際線における「新・間隔エコノミー」や「JAL SKY SUITE」への更新をさらに進めるなど、商品サービスの一層の充実に努めていく。また、最新鋭航空機への更新を着実に進め、収益性と安定性を兼ね備えつつ、航空需要の伸びに適切に対応し、常に成長し続けることで企業価値の向上をめざす。

 我々は安全運航の堅持を大前提に、「世界で一番お客さまに選ばれ、愛される航空会社」をめざし、社員1人ひとりが真のFSCとして付加価値の高いサービスを提供するよう努める。引き続きJALグループをご愛顧いただきたい。