行政レビュー、取りまとめで旅券コスト削減を要望、復興促進も

  • 2016年11月29日

 政府は11月28日に開催した行政改革推進会議の第25回会合で、今月に実施した「行政事業レビュー」における議論の取りまとめをおこない、観光関連事業では外務省が所管する旅券発給業務について、新たに導入されたマイナンバー制度なども活用してコスト削減に努めるよう求めた。また、邦人援護などに関わるコストと、旅券発給に関わるコストの双方の予算と実績の内訳を国民に対して分かりやすく説明すべきとした。

 今回のレビューでは13日に、旅券発給業務の見直しについて議論。参考人として出席したエイチ・アイ・エス(HIS)代表取締役会長兼社長(CEO)の澤田秀雄氏などが、1冊あたりのコスト削減に向けた取り組みなどを要望した。現在、旅券1冊の発給には作成そのものにかかる費用に人件費やシステム開発費などを加えた「直接行政経費」が約4000円、都道府県側の経費が約2000円、海外での邦人援護などに必要な人件費など「間接行政経費」が約1万円かかっているという。

 そのほか、復興庁が所管する「東北地方へのインバウンド推進による観光復興事業」については、「『被災地の観光促進』という政策は重要であり、効果的に進めていく必要がある」と強調した上で、日本政府観光局(JNTO)に対しては被災地の観光に関する現状の把握・分析・評価をおこない、訪日外国人旅行者の視点を踏まえた上で、より効果的に事業を実施するよう指示した。

 被災地の復興に関する定量的な目標については、「より具体的なものとするよう改善すべき」と指摘。また、観光資源の重要性を示し、「個々の地域が自ら観光資源を作ることで地域の魅力を再発見するプロセスとなるよう、地域住民との連携・協働に努めるべき」とした。