週間ランキング、1位はJATA会員除名-英国でEU離脱派が勝利

[総評] 今週の1位は、日本旅行業協会(JATA)の総会で正会員2社が会費未納により除名となった記事でした。当欄を書く身としては、なんでよりによってこんな記事がと迷惑な部分もありますが、たしかに下世話な興味は感じます。

 そもそも、旅行業協会の正会員となるメリットの一つは弁済制度のために納める金額が5分の1になる点です。第1種旅行会社の場合、JATA会員でなくなってから旅行業を継続しようとすると最低でも7000万円の営業保証金を国に供託しなおさなければなりませんし、逆に継続しない場合は問題がなければ1000万円を超える分担金が戻ってきます。

 2社とも電話が繋がりませんでしたので真相は闇の中ですけれども、普通であれば7000万円を用意できるのに会費の数十万円を払えないということはないはずです。

 一つ気になるのは24日現在で両社ともウェブサイトは稼働していることで、もしも旅行業を続けないのであれば、旅行者が間違えて申し込んでしまったりしないよう早急に閉じてほしいものです。逆に継続されるのであれば、トラベルビジョンで真意をご紹介するなどお役に立てることもあろうかと存じますのでご連絡をいただければ幸いです。

 続いて2位もJATAの話題で、田川博己会長の続投が決まっています。田川氏は、直接お会いしなくてもおそらく写真だけで十二分に伝わるのではないかと思われる眼力と凄みのある存在感でJATAをリードしておられ、今後も更なるご活躍に期待がかかります。

 とはいえ気になることもないではなく、このほど交代となった理事長のポストを含めて、誰がどのようにして決めているのかが不透明であるのはどうにかならないものかと思います。

 前観光庁長官が日本観光振興協会の理事長になる、あるいは観光庁で要職にあった方が新関西国際空港の常務取締役を経てJATA理事長になるというようなことを非難するつもりはありません。むしろ、旅行業界はもっとロビイングの力を得るべきだと思います。

 しかし、これほど業界の未来について厳しい見方がある中で、それを左右するかもしれない事柄がよく分からないところで決まっていることは1人の業界人として不満です。

 こんなことを書いて大丈夫かと自分でも思うところがないわけではないですが、そもそもそう感じるのはやましさがあると考えているからといえます。きちんとオープンにした上で、正々堂々と力を発揮していただけた方がよほど良いはずです。

 なお、未来を左右するという意味ではちょうどこの原稿を書いている24日、英国でEUからの離脱派が国民投票で勝ってしまうという歴史的事件といってもいい出来事がありました。様々な感想が頭の中を巡りつつ、衝撃が大きすぎて思考がまとまりませんが、旅行業界にも相当な影響が出るでしょう。

 先々週の当欄で米国のトランプ氏が支持を集める理由を考えなければ、と書きましたが、英国での結果を受けてその思いはますます強くなっています。今回の対立の構図で、低所得者層の不満が要素の一つとなっていたそうですが、伝え聞く前ロンドン市長の発言もトランプ氏と似たり寄ったりです。

 日本でも選挙を控えていますが、道を誤れば社会は旅行どころではなくなります。なぜ現代では極端な主張が支持されるのか、それを支持する層によってもたらされる未来はどのようなものか考えなくてはなりません。英国での出来事は対岸の火事ではなく、また選挙は自分の仕事やプライベートと無関係ではないのです。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2016年06月19日0時~06月24日18時)
第1位
JATA、正会員2社の除名を決議、会費未納で(16/06/21)

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※除外した記事(本来は10位以内にランクイン)
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 ◆JATA、新役員体制-理事長に元新関空常務の志村氏(16/06/20)